宇野昌磨の競う喜びと勝算「マリニン君にジャンプで敵う人は数十年いない...でもギリギリ戦える」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【マリニン1強になる可能性が高い】

 宇野は、「NHK杯の時は悲しかったけど、今回は悔しくないですね」と言う。

「競技をやる以上は順位を、というのは絶対出てくると思います。今回の演技はもっと表現を頑張れたなって思うけど、結局、ジャンプを跳ばない限りは(得点が上がらない)というのはあって。マリニン君と僕の演技構成点の差は6.10点だけど、それはもうジャンプお手つき分くらいなんです。(マリニンは)あれだけジャンプをきれいに跳べる。そして一番確率よく跳んでいるので、彼に勝つには同じぐらいのジャンプを跳ばないと、たぶん今後は勝てる人がいなくなってしまうのが現状だとは思います」

 だが宇野は、自分が4回転ジャンプを増やす構想はないとも言う。それ以前に、まだまだやるべき演技がある、と。そう考える理由のひとつに、NHK杯で納得できる滑りができたことがある。4回転ジャンプ4本の「q」判定に加え、4回転トーループが2回転になったミスがあったものの、そのミスがなければフリーは200点台に乗せられ、SPとの合計も310点台は確実になるからだ。

「ジャンプのスキルでマリニン君に敵(かな)う人は、下手したら数十年いないと思うくらい飛躍しすぎていると思うので、来年以降はマリニン君が1強になる可能性は高いですね。でも今年ならギリギリ戦えると思います。彼がこれからどういう思いを持ってフィギュアスケート界を引っ張っていくかはわからないですけど、僕は追いかける立場になったつもりはないですし、一緒に引っ張っていければなとは思います。マリニン君と今年一杯は、戦える存在でいたいと思います」

 GPシリーズ3戦を終えた今、宇野は「シーズンに入る前はここまでハイレベルな戦いになると思ってなかったので、けっこう楽しいです」と笑顔を見せた。

「やっぱり競い合いながら、お互いが切磋琢磨してより高いところを目指し合える環境はすごく楽しい。そうやって僕は、ネイサン・チェン選手やユヅ君(羽生結弦)と一緒にやってきた。まあ僕は置いていかれていましたけど、今回は置いてかれないように頑張りたいなと思っています」

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