キム・ヨナに憧れて...フィギュアスケート韓国勢「ヨナ・キッズ」の台頭 (3ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【日本勢と切磋琢磨】

 すらりとした長身と長い手足でダイナミックなジャンプを跳ぶキム・イェリムは、昨シーズンのNHK杯女王。今季は中国杯とNHK杯にアサインされ、「(6位だった)中国杯のあとにたくさん練習をしてきました。自信を持って試合に臨めると思っていたのですが、公式練習で靴のトラブルがあったんです。靴ひもをかけるフックが壊れてしまい、ショックと不安に襲われました。それでもショートは頑張ることができたと思いますし、観客の皆さんの声援に助けていただき感謝しています」と話した。

 ちなみに、今年3月の世界選手権の時にも「演技後、自分の演技にがっかりして落ち込んでいたのですが、観客の皆さんが『イェリム、サランヘヨ!』と声をかけてくださったことがとてもうれしかった」と話しており、いつも日本のスケートファンへの感謝の言葉を口にしている。

 フリーでは、今季なかなか決まっていなかった冒頭の3回転ルッツ+3回転トーループを成功させた。着氷姿勢でリンクのボードにぶつかってしまったが、ダイナミックなジャンプが決まったことで喜んだファンも多かったことだろう。

「前回大会でのフリーはあまりよくなかったので、今回は前よりは進化していると思います。次の試合までに後半も修正していきたいなと思っています」と話し、韓国国内のランキング大会に向けて前向きな姿勢を見せた。

 イ・ヘインとともにジュニアで活躍してきたウィ・ソヨンはNHK杯前に足首をケガし、不安を抱えての出場となったが、「出場するからにはベストを尽くしたいと思って頑張りました。すぐに国内の大会があるので、そこに向けて頑張りたいです」と笑顔を見せた。

 男女シングルともにジュニアでもシニアでも成長著しい韓国。日本の選手たちと互いにリスペクトし合い、切磋琢磨し続けている。

プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

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