93歳のフィギュアスケーターの "スケートを愛し、仲間に愛される日々" 満州で出合い、68歳で試合デビュー、90代で大会出場 (3ページ目)

  • 一ノ瀬 伸●取材・文 text by Ichinose Shin
  • 等々力菜里●撮影 photo by Todoriki Sairi

●68歳で大会デビュー

 自身でスケートを続けてきた浅野さんに転機が訪れたのは50歳。夫の仕事の関係で東京に暮らしていた時、フィギュアスケート教室の新聞広告を見つけた。佐藤信夫氏や都築章一郎氏といった著名なコーチが参加するレッスンだった。

「覚えているのは、私、申し込みで2歳サバを読んだんですよ。本当は50歳なのに48歳に。なんでかわかんないですけど50歳って言いたくなかった。今ではもう90歳をすぎて平気で自分の年齢を言えるんですけどね(笑)」

ハキハキとした口調でインタビューに答える浅野さんハキハキとした口調でインタビューに答える浅野さんこの記事に関連する写真を見る 教室に足繁く通い技術を身につけていった浅野さんは、68歳でマスターズチャレンジカップに初出場。その後、数多くの大会に出場してきた。

「もうちょっと上にいけるな、うまくなれるなと思ってバッジテストを受けて級を取ったり、先生とアイスダンスの課題に取り組んだりもしました。この年齢でここまでできる人はめったにいないって、褒めてもらえたんですよ」

マスターズチャレンジカップに出場した際の写真マスターズチャレンジカップに出場した際の写真この記事に関連する写真を見る 70代で夫が病に倒れ、仙台へ再び戻った。夫は生前、いつも浅野さんの一番のサポーターだったそうだ。

「主人がいたからスケートを続けられたんです。最期は肺癌だったんですが、入院している時にお見舞いへ行くと、『いいから、スケートいけ』っていつも言ってくれました」

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