宇野昌磨「どうやったら自分のためになるかわかってきた」。GPファイナル制覇で見せたアスリートとしての「熟成」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

【今季世界最高得点でGPファイナル制覇】

 中1日置いた12月10日のフリーはSP以上の落ち着きで、丁寧さも見えてくる滑りだった。

「フリーをたくさん練習してきました。ジャンプもそうですが、プログラム全体としてフリーのほうが自信を持って滑れているので、練習してきたことをちゃんと出せるかというのを見るフリーになると思います」

 宇野が演技前にそう話していたとおり、自分がやるべきことを明確に理解し、それを実行するだけだった。

 今季一番うまく跳べているという最初の4回転ループを3.75点の高い加点のジャンプにすると、続く4回転サルコウと4回転フリップも不安なく決める。

 そのあとのトリプルアクセルは少し前のめりの着氷になって3連続ジャンプにはできなかったが、焦る様子はいっさいなく、落ち着いた流れも途切れない宇野らしい滑り。後半の連続ジャンプも余裕を持って4回転トーループ+2回転トーループで跳んだ。

 単発の4回転トーループはオーバーターン気味で耐える着氷になって1.36点減点されたが、そのあとは安定感を見せた。演技終了後は軽く苦笑を浮かべると、しばらく氷上に座り込んだ。

 そのフリーの得点は、コンビネーションジャンプが1本少なかったにもかかわらず、昨季優勝した世界選手権を1.62点上回る204.47点の自己最高。合計も今季世界最高の304.46点と、実力を示す結果になった。

「昨シーズン後半からいろんな選手の練習の仕方や取り組み方を見て、時間が限られているなかでどうやったらたくさん練習できるか、自分のためになるかというのがわかってきたので、試合でのいい結果につながっていると思います」

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