本田真凜が闘い続ける「スターのイメージ」。目標に向け一歩前進も「もっとできるところを皆さんにお見せしたい」 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

"もっとできる"を見せたい

 3年前のインタビュー、彼女はこう答えていた。

ーーすべてがハマった自分を見てみたい、という発言をしていましたが、パズルのピースはどれだけハマりましたか?

 その問いかけに、本田は闊達な声でこう答えていた。

「ちょっとずつ組み立てたのが、まだバラバラって感じです。今までは考えてスケートをすることがなくて。小さい時は、感覚で何でもできるのがあったんです。でも、それはもうできなくて。普段の生活から、一つひとつ考えて行動するように心がけています。おかげでそろってきている感じで。粘り強く頑張りたいです」

 10月2日、フリースケーティング。本田は赤いドレスに赤い髪飾りで、『ムーラン・ルージュ』を滑っている。冒頭、3回転ループ+2回転トーループ+2回転ループで高得点をたたき出した。しかし、その後のジャンプは転倒もあるなど、思ったように決まらなかった。スコアは88.01点で9位。トータル138.54点で8位、わずかに順位を下げた。

「(フリーは)よくなかったです。出だしは練習どおりできたんですが、ひとつ失敗したあと、"どうしよう"ってなっちゃうのもよくなくて」

 本田は反省を口にした。ただ、この日の成績で無事、東日本選手権へ通過。8年連続の全日本出場権獲得に一歩近づいた。

「試合は練習と呼吸が違っていて、息をずっと吸い続けてしまうというのがわかりました。これからは落ち着いて、自信を持って滑れるように。タイミングとか、本当に少しのズレのところの調整でよくなると思うので。東日本選手権では、"もっとできる"ところを皆さんにお見せできるように。一番の目標は全日本出場なので」

 11月、本田は東日本選手権に挑む。「本田真凜のイメージ」との対峙は、もはやあらがえない。彼女自身、スターとして求められる姿に近づくしかない。その格闘が人を惹きつけることも事実だ。

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