日本人選手には有利に? 国際審判員に聞く、スピンや連続ジャンプのルール改正のポイント (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

コンポーネンツの何が変わるのか

 そしてもうひとつ、今季から、コンポーネンツ(演技構成点)がこれまでの5項目から、3項目(1コンポジション<構成>、2プレゼンテーション<表現>、3スケーティングスキルズ<滑走技術>)に集約されます。

 これまでの「トランジション」がなくなっていますけど、中身については「コンポジション」や「スケーティングスキルズ」に振り分けて入っています。「インタープリテーション」という項目もなくなりましたが、この評価項目はパフォーマンスのなかにそっくり含まれて「プレゼンテーション」と名前が変わったという感じです。でも、評価項目自体では何かがなくなったわけではなく、今まで評価していた項目はしっかりと評価されることに変わりはないです。

 3項目の演技構成点になったことで点数を出しやすくしているので、それを「どういう内容でどういうふうに採点すべきなのか」という話は、国際スケート連盟(ISU)でもセミナーをやったりして、いろんな情報を流しています。そのなかでは、「過去の名声に引きずられて点を出していけない」とか、「ひとつの項目がいいからといって他の2つの項目がいいとも限らない」というような話が強調されている印象があります。その点を踏まえてジャッジたちの意識が変わるか、シーズン序盤の試合でどんな得点が出てくるか注視してみるといいでしょう。

 誤解されやすいところでひとつ言うと、「コンポジション」はいわゆる振り付けというか、プログラム全体の構成、いわば「設計図」を評価するのではないということです。ジャッジは振付師が振り付けた「設計図」を見ているというよりも、スケーターがその試合で滑った演技、いわば「できあがり」を見て評価しています。

 だから、羽生結弦選手のプログラムを、全日本に出られないぐらいのレベルのスケーターが滑った時に、「設計図」が同じだから同じ点が出るかというと、そうではなく、「できあがり」に違いがあるでしょうから、そこが評価されて違う点数が出るのです。このことは、同じスケーターが同じプログラムを滑っても、その日の精神面や体調で違う演技になり、そこが評価されるということなのです。

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