日本人選手には有利に? 国際審判員に聞く、スピンや連続ジャンプのルール改正のポイント (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

トップ選手には影響が少ないスピンのルール変更

 たとえばレイバックスピン。今まで多かったパターンは、ディフィカルトエントリー(難しい入り方)から、サイドからバックというので要件特徴のひとつをとって、ヘアカッター(上体をやや横に反らしたままフリーレッグを順手でつかみ、頭に引き寄せる)という姿勢から、さらにビールマンスピンとするか、ヘアカッターで8回転回るかで、レベル4をとっていました。

 しかし、このなかには、新ルールでのレベル4になる必須の要素というのがありません。6つの必須要素でレイバックスピンに入れられるのは、「チェンジエッジ」か「明確な回転速度の増加」か「難しい出方」しかないんです。ただ、レイバックのチェンジエッジというのはメチャクチャ難しいというか、危ないんです。もちろんできる選手もいるので、それをトライするか、インクリーススピードではっきり加速することにトライするか、難しい出方にトライするか。どれかが上手にできないと、とりあえずはレベル3にしかならなくなります。

 選手は3つのスピンをどうやってレベル4にするか考えた時に、比較的、組み合わせが限られることになるので、新たな工夫をしてちょっと変わったことにトライするか、苦手としていたスピンをともかくできるようにするか、そのようなことをしないとレベルがとりにくくなってくるはずです。

 これが選手たちにどんな影響をもたらすかについては、今季のプログラムをまだ見ていないので正確なことはわかりません。ただ、ノービスでも器用な選手は簡単そうにやってレベルをとれているので、日本のトップ選手であれば、そんなに問題なくレベル4をとれると思います。

 ただ、やはりそれができる選手とできない選手の差は顕著に出てきます。一方でたとえば、多くのスケーターがコンビネーションスピンのなかでシット姿勢からキャメル姿勢への変更を行なってレベル4をとろうとするでしょうから、レベルの取り方がわりとみんな似てくる感じはあります。スピンがちょっとつまらなくなるかもしれません。逆にスピンの出方の部分等では、バリエーションの幅は広がってくるかもしれないので、スピンをどう工夫するのかという部分では楽しみなところかもしれないです。

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