髙橋大輔&村元哉中が進む曲がりくねった道。全日本の経験を次に活かす (2ページ目)
初の全日本選手権を2位で終えた髙橋と村元のカップル「朝の練習で、相当に痛そうだなと心配していました。(村元)哉中ちゃんは、『何とかします』『大丈夫』って前向きで。自分がしっかりサポートしないとな、とは思っていました」
髙橋は言う。一方で村元も、その気持ちに共鳴していた。
「See you in heaven」(天国で会いましょう)
4番目の滑走、演技の前に見つめ合った時、村元は英語でささやいている。バレエ曲『ラ・バヤデール』が悲恋の物語で、恋人同士が幻想の中で踊るときのセリフ。それは緊張するパートナーの気持ちを和らげるためのものだった。
「会場に入って、アップをしながら、(髙橋)大ちゃんが心配して声を掛けてくれて。朝の練習の時よりはコンディションがよかったし、踏ん張りもきいたので。とにかく『大丈夫』って伝えました」
村元は言うが、万全なはずはない。渾身の力を振り絞るつもりだった。
冒頭、ふたりはコンビネーションスピンから無難に入り、ストレートラインリフトからローテーショナルリフトの流れは鮮やかで、11.51点と高得点を出している。ワンフットステップシークエンスでは、髙橋のウェーブのかかった髪が風になびき、村元のティアラが明るく輝いた。順調な流れだった。
2 / 5