憧れの羽生結弦と初めて同じ舞台に。ジュニア王者、佐藤駿の急成長 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 まさに佐藤のお手本は羽生だった。2011年の東日本大震災で被災し、小学2年の頃は埼玉に一時避難しながらも近くのリンクで練習を続けた佐藤にとって、理想のフィギュアスケートは偉大な先輩である羽生の滑りであり、演技だという。

 15歳ながら、練習ではループ、サルコーを含む4種類の4回転を着氷しており、将来有望な次代のエース候補のひとりだ。日下コーチもその成長ぶりに太鼓判を押す。

「本当に急成長だと思います。練習でいくら降りても、試合で降りないと意味がない。そこに持っていけるメンタルもそうですし、(ジュニアGPの)アメリカ大会、クロアチア大会で表彰台に乗るのが目標だったが、一戦一戦乗り越えて、メンタルも技術もすごい成長です。それに、1年で4種類の4回転を跳べるようになりましたから」

 ジュニアGPファイナル後の一夜明け取材で、佐藤はこう話している。

「いつかは羽生選手に勝ちたいと思っていますけど、まだまだ自分はそのレベルには全然達していないので、羽生選手のジャンプやスケーティングを真似できるように頑張りたい」

 その「いつか」がそう遠くない日にやってくる可能性もある。今後の飛躍的な成長を見守っていきたい。

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