樋口新葉が連覇! 火花を散らすジュニア世代が浅田真央を追う (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●写真 photo by Noto Sunao

 最終グループに入っても会場の緊張感は続いた。1番手はSP5位で昨年の世界ジュニア6位の坂本花織。ジュニアGP2戦目以降は右脛の疲労骨折で1ヶ月間練習を休み、11月に練習を再開すると、転倒して尾骨にヒビが入る満身創痍の状態。大会3日前になってやっと3回転+3回転が跳べたという状況ながらも、ルッツのエッジエラー以外はノーミスの演技を披露する。「ジャンプに集中していたので表現までは意識できなかった」と得点は111点台にとどまったが、合計では本田を上回って170点台に乗せた。

 首位が目まぐるしく変わる中で登場となったのが、連覇を狙う樋口だった。SPでは初めてノーミスの演技をしてトップに立ってはいたものの、夏に発症した疲労骨折に近い腰の故障が完治していない状態で不安はあった。だが、「昨日のショートが良かったので、今日は朝の練習から全部出し切るつもりでやった」という樋口は、気持ちよく跳べるためにと1週間前にルッツ+ループからルッツ+トーに変更した冒頭の3回転連続ジャンプを慎重に決めると勢いに乗った。後半に入ってすぐの2回目のルッツ+トーの3回転連続ジャンプもきれいに決め、終盤の3回転フリップでは着氷で手をついたが、その動揺も見せずにダブルアクセルからの3連続ジャンプを決める圧巻の演技。122.40点を獲得し、合計を189.23点にしてトップに立つ。

 しかし、樋口の高得点に対し、その後に滑った選手たちも動揺しなかった。SP3位の新田谷凜は最初のルッツが2回転になったが、それ以外はミスも最小限に抑える安定した演技で合計を175.97点とし、年長の高校3年生としての実力を示した。

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