羽生結弦の背中を追う17歳。宇野昌磨が急成長した要因とは? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 その後、11月下旬の全日本ジュニア(新潟)で初優勝。続くジュニアGPファイナルではフリーで4回転トーループを含むすべてのジャンプをクリアに決め、スピンとステップでもレベル4を取る完璧な演技を披露した。結果は、ジュニアのフリーで初の160点台となる163・06点を出し、合計238・27点で優勝。日本人では05年の小塚崇彦と09年の羽生結弦に次ぐ3人目のジュニアGPファイナル覇者となった。

「SPでは練習してきたことをできていなかったけど、フリーはそのミスを打ち消すくらい、自分でもビックリするような演技ができた。優勝も嬉しいけど、練習してきたことが無駄にならなかったことの方がうれしい。4回転を降りられるようになった時は、スケートをやっていてよかったなと思いました。それを大きな試合で決められたのがすごくうれしいです」

 そして、全日本選手権では、SPで4回転トーループを入れ、ほぼパーフェクトな演技で85・53点。羽生と町田に次ぐ3位につけると、フリーでは165・75点を獲得し、出場4回目の全日本で2位となった。

 指導する山田満知子コーチは「大きな大会で頑張りきれたのが嬉しい。全日本ジュニアでいい演技ができなかったが、昌磨はそれが悔しくてすごく練習をした。一番変わったのはあの時です」と話す。

 宇野自身も「全日本ジュニア後、4回転と2回のトリプルアクセルを練習でもノーミスでできたことはなかったけど、GPファイナルの前に4回転の練習をかなり増やしたので、それが生きたと思います。今年は、今までで一番成長できた1年だった」と笑顔を見せた。

 宇野はもともとスケーティングが基本に忠実。スピンやステップも丁寧にこなすのが持ち味だ。今シーズン、身長が伸びて筋力がついたことで、その持ち味がさらに生かせるようになったといえる。

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