全日本で一気に世代交代!?日本の女子フィギュアに希望

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

「じっくりと着実に階段を上るタイプ」と言う宮原だけに、下半身の筋力がついて今よりもジャンプ力が高まれば、さらにキレのいいジャンプを跳べるようになるはず。そうなれば課題の回転不足も解消されるに違いない。「努力の虫」という才能を持つ宮原。日本の女王としての自覚が芽生え、より気持ちを前面に押し出す演技ができれば、世界のトップ争いに加わってくるはずだ。

 来年3月の世界選手権は、日本女子が再来年の大会の出場3枠を確保できるかどうかが決まる大事な戦いになる。それは全日本女王がどれだけ奮起してロシア勢に迫れるかにかかってくるだろう。

 宮原より2歳上の本郷は、遅咲きの大器晩成型スケーターと言える。トリノ五輪金メダリストの荒川静香に憧れ、自分も「オリンピックで金メダルを取りたい」と思うようになったという。拠点にしていたリンクが経営難で閉鎖してしまった9歳の頃、スケートを続けたかった本郷は、親元を離れて一人で仙台から名古屋に「スケート留学」をした頑張り屋だ。

 荒川を育てた長久保裕コーチから指導を受け、じっくりと成長を続けてきた本郷は、実は今季もジュニアの大会に出るつもりだった。まだシニアでやっていけるという手応えはなく、半信半疑のまま挑戦することになったという。だが結果は予想以上のものになり、世界に本郷の名前を売り込むことができた。

 本郷自身はまだまだ実力不足であることを認め、「世界選手権は初めて出場するので、SPとフリーで少しでもいい演技をして自分の存在をアピールしたい。海外での試合ではまだ180点を超えることができていないので、納得のいく演技をして180点以上の得点を出すことが目標です」と照準を定めていた。

 長久保コーチは今季前半戦の活躍を今後に生かせるようにしたいと語る。

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