山中慎介が語る井上尚弥vsネリ「敵討ちではなく『ひとつの試合』と思ってほしい」 フェザー級転向も「問題ない」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――ガンガン前に出てくれば、井上選手のチャンスも増えそうですね。

「そうですね。前戦のマーロン・タパレスは、L字ガードや両手を高く上げて守りながらうまく戦っていました。そのタパレスに比べると、ネリのほうが隙はあると思います。タパレスにも苦戦はしていませんでしたし、ネリ戦は中盤から終盤にかけてのラウンドで倒すことができるんじゃないかと思います」

――タパレスは、山中さんのスパーリングパートナーを務めていた選手ですね。

「昔からディフェンス能力が高い選手で、ボクシングセンスはかなりありました。井上との試合ではうまく守りながら、たまに怖いパンチを打っていた。フックのタイミングがよくて相手から見えにくいんです。井上が試合後に『一発効いた』と言っていたのも右フックだと思います」

――中盤以降、タパレスがディフェンシブになって判定がよぎりませんでしたか?

「そうですね。8ラウンドくらいで『判定もあるかな』と。そんな展開でも10ラウンドで倒し切るんですから、すごいですよ」

【井上はサウスポーが得意?】

――井上vsネリに話を戻しますが、ネリ選手は日本ボクシングコミッション(JBC)から国内での無期限活動停止処分を受けていました。今回、それを解く流れになっています(※)

「そもそも、誰が無期限活動停止処分を下し、誰がそれを解くのかって話です。『無期限』という表現は曖昧だな、と思いますね」

(※)2月26日、JBCはネリのライセンス申請資格の回復を認めると発表。

――先ほどは「井上の圧勝」と予想していましたが、山中さんも現役時代には"神の左"でのKO勝利を周囲に期待されていたと思います。それをどう感じていましたか?

「『勝って当たり前。どのように相手を倒すのか』と期待されていたので、変なプレッシャーはありました。ただ、井上は別格だと思います。彼は王者クラスの強敵を次々と圧倒して、パウンド・フォー・パウンド(PFP)でも一時は1位になったわけですから、早いラウンドでのKOや圧倒的な勝利を期待されるのは自然なこと。ただ、井上はさらなる高みを目指しているはず。"常にチャレンジする"という強い意志を感じます」

――サウスポーのネリは、オーソドックスのフィゲロアの強烈な左ボディで倒されました。左ボディは井上選手のフィニッシュブローのひとつですが、入る可能性は高い?

「オーソドックスの選手がサウスポーの選手と戦う場合は、急所のレバーが目の前にくることになりますが、そこにパンチを入れるにはタイミングが難しいんです。瞬時の判断が必要になるんですけど、井上はその判断力も長けているので、左のボディを的確に打ち込むことができます」

――井上選手は世界戦で4人のサウスポーをすべてKOで破っていて、そのうちふたりを左ボディでKOしています。

「オマール・ナルバエスと、僕のスパーリングパートナーだったマイケル・ダスマリナスですね。僕が相手でも、あの左ボディは一番もらいたくないです(笑)。でも、井上はあらゆるパンチがフィニッシュブローになる。そりゃあ強いですよ。ネリは日本では知名度がある選手ですが、実力差はあると思います」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る