オカダ・カズチカは「プロレス界の大谷翔平になれる」WWE殿堂入りの大先輩・藤波辰爾が激励 (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji

 オカダは現在36歳。デビュー17年目での世界進出に、藤波はまず理解を示した。

「私自身のキャリアを振り返っても、36歳の頃は肉体的、精神的にもピークを迎える時期。もちろん個人差はあるでしょうが、40歳を超えると、自分が頭の中でイメージしている動きと実際の動きに若干のズレが出てくるんです。これは想像でしかないけど、40歳の大台が見えてきたからこそ『勝負に出るなら今しかない』と決意したんだと思います。

 ほかのスポーツに目を向けると、野球の大谷翔平やバスケットボールの八村塁といった各競技のトップ選手がアメリカで勝負し、成功している。そういうアスリートたちの活躍に『俺もやってやる』と刺激を受けた部分もあったんでしょう。さまざまな状況、時代性がいい意味でプラスに働き、『日本を飛び出して世界でトップに立つ』という野望を抱いたんだと思います」

 藤波はWWF参戦後、ジュニアヘビー級王座を獲得するなど活躍し、ニューヨークを中心とした米東海岸で絶大な人気を獲得した。2015年には、猪木に続く日本人ふたり目のWWE殿堂入りを果たしている。そんな自らの経験から、藤波はオカダにアドバイスを送る。

「オカダの強みは、アメリカのレスラーにも引けを取らない体の大きさ。そこは、私とは違う彼の武器です。試合も、新日本でやってきたハイレベルなパフォーマンスを続ければ、十分に向こうのファンにも受け入れられると思います。

 ただ、これは国民性の違いなんですが、向こうのリングでは日本以上にハッキリと自己主張をしないといけない。試合中も展開に応じて、怒っているのか、耐えているのか、といったメリハリをつける必要があります。私もそうでしたが、そこはアメリカのリングに立ってファンの歓声を受けていくうちに理解していくでしょう。鋭い感性を持っているオカダなら、意識せずとも自然に適応していくはずです」

 技だけでなく、感情表現の抑揚が重要。これはレジェンドからの金言だが、そのほかにも成功のために欠かせないものがあるという。

「早い段階で英語をマスターすることが大切です。自己表現が重要という話をしましたが、それには言葉の力が絶対不可欠ですから。

 加えて、日本では今でも十分に体が大きいですが、アメリカではさらに大きな選手がいます。だからこそ肉体を鍛え直して、さらに体をデカくすることも考えたほうがいいですね。全米のファンが驚くほどの体になれば、リングに上がっただけでファンを引きつけることができる。そうすれば、オカダ・カズチカは"プロレス界の大谷翔平"になれるはずです」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る