現役アイドル兼プロレスラーの渡辺未詩 情緒不安定状態で組まれた絶対エースとの一戦に「ここで変わらないと、たぶん一生このままだ」 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 2017年8月にスタートした、アップアップガールズとDDTプロレスリングのコラボレーション企画。「歌って、踊って、闘える」最強のアイドルを目指すという。プロレスの知識はまったくなかったが、アップアップガールズ(仮)も富士山の山頂でライブをするなど"アスリート系アイドル"ではある。ももいろクローバーZもプロレスラーとよく絡んでいるし、ドラマ『豆腐プロレス』(テレビ朝日系)にもAKB48グループのメンバーが多数出演していた。漠然と「なんとかなるだろう」と思った。

「とりあえず『プロレスとは』で検索したんですよ。そうしたら『闘う』という言葉もあったけど、『世界最大級のエンターテイメント』とも書かれていて。訳がわからなかったです。とはいえ、大きい事務所だし、『プロレスはとりあえずいいや』くらいの気持ちでオーディションを受けました」

 書類審査を通過し、二次審査の面接に進んだ。筋肉を見せると、審査員に喜ばれた。それまで受けたオーディションでは、「もうちょっと痩せようか」「髪型を変えようか」と言われ、ダンスレッスンの時に鏡に映る自分の肩幅にネガティブな気持ちになっていたが、ここではそれが喜ばれる。何かを掴んだ気がした。

 選考が進む中、初めて東京女子プロレスの試合を生で観た時、「これは私がやりたいことにものすごく近い」と思った。

「アイドルって、いつもキラキラしていて、夢を与えてくれる。その一方で、10代、20代という人生において大切な時期に、いろんなものを犠牲にしていることへの儚さとか、美しさがあるんです。プロレスを初めて観た時、『同じ感覚だ!』と思いました」

 渡辺は最終オーディションの合格者4人(ミウ/現「渡辺未詩」、ラク/現「らく」、ヒカリ/現「乃蒼ヒカリ」、ヒナノ/後の「ぴぴぴぴぴなの」2019年4月に引退)の中に選ばれ、8月27日、横浜アリーナで開催された@JAM EXPOでステージデビューした。

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