天龍源一郎、柴田勝頼との激闘後に謎のひと言 ケンコバが真相を本人に探るも「聞き取れなかった」 (2ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

――ちなみに、先ほど(中編)話していただいた福井県出身者だけを集めた特番で天龍さんとお会いした時に、その真相を聞かなかったんですか?

「もちろん、その時もお聞きしましたよ。ただ、天龍さんが何とおっしゃっているのかわからなくて......。聞き取れなかったんですが、俺は『ですよね』とうなずいてしまったんです。そうしたら、天龍さんは『ウン』と満足げな様子になって。せっかくのチャンスだったんですが、それっきりになってしまいました」

――奇しくも、2004年に行なわれたこの試合から今年で20年。解き明かさなければならないマット界の謎ですね。

「この謎の答えをご存じの方がいたら、ぜひ教えていただきたい。もちろん、俺もまた天龍さんにお会いできる機会があれば、今度こそしっかり聞き取りをしたいと思っています」

【柴田のポリシーに「心惹かれる」】

――それにしても、今回お話しいただいた秘話からも、ケンコバさんの天龍さんへの愛、敬意を強く感じますね。

「この連載でも何度か言っていると思いますが、俺は天龍さんが全日本プロレス時代に『第三の男』と呼ばれている頃から好きでした。生き様、闘う姿などはもちろんですが、俺が最初に好きになったのは、試合中に全日本のレスラーとは思えないつぶやきを聞いた時です。

 天龍さんはボディスラムで叩きつけられた時などに、『クソッ』とか『ファッ○○!』とか言い出すんですよ。アメリカの方からすると使い方が合っているのかはわかりませんが、ラリアットを決めてFワードを発して中指を立てる。そんな姿に惹かれました」

――反骨精神の塊ですね。

「あと、昔のレスラーらしいレスラーと言える、最後の方なのかもしれませんね。これは昔、アメリカやカナダなどで活躍していたミスター・ヒトさんに聞いた逸話なんですが......。

 若き天龍さんのアメリカ修行時代、すでにアメリカのリングに上がっていた年上のヒトさんがお世話していたようで、天龍さんが住むアパートが決まっていなかった時に、ヒトさんが『俺のキャンピングカーを使え』と"仮住まい"として提供したらしいんです。そうしたらある日、昼頃になってもキャンピングカーから天龍さんのいびきが聞こえてきて、『いい加減に起きろ』と後部座席の観音開きのドアを開けたら......。一緒に金髪の女性が4人も寝ていたそうなんですよ(笑)」

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