「お前、そんなこともやるのか!」148cmの女子プロレスラー・駿河メイが対戦した鈴木みのるに嫉妬 他団体に移籍しない理由も明かした (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 メイにインタビューをして感じたのは、いかに普段、彼女が等身大の駿河メイでプロレスをしているかということだ。インタビュー中も試合と同じように笑い、試合と同じように喜怒哀楽を表す。メイの困った顔を見て、「どこかで見たことあるな」と思ったら、「そうだ、試合で見ている顔だ」と気づいた。

「プロレスって痛いし、しんどいし、体力も使うけど、"駿河メイ"として生きることができる。素のままの自分を出しているので、それを見て楽しんでくれたり、涙してくれる人がいたら、そのために頑張れます。お客さんが自分を肯定してくれますね。プロレスを通して人生が豊かになっていますし、本当にハッピーです」

 さくらえみはメイのことを、「私にとって何度も悔しい思いをさせられるプロレスラー。この先もずっとそう思わせてほしい」と話す。その気持ちがわかるような気がした。インタビューを通して「この人には敵わないな」と思わされた場面が何度もあった。プロレスの試合同様に、自由奔放。単純明快なようで、掴みどころがない。プロレスでもインタビューでも、駿河メイに翻弄されるのはなんとも心地よい体験だ。

【コーチとしても天才】

 インタビュー後、メイがコーチを務めるプロレス教室「誰でも女子プロレス」(通称「ダレジョ」)に参加させてもらった。参加者の年齢も目的もバラバラ。プロレスデビューを目指す女性もいれば、キッズクラスには2歳の女の子もいる。

 コンセプトは、"安全なプロレスの動きだけを使い、誰にでもできるようにしたプロレス"。受身、ロックアップの練習に続き、メイのフィニッシュムーブのひとつである「プロペラクラッチ」を直々に教わる。「絶対、できないだろうな......」と思っていたが、メイが段階を踏んで丁寧に教えてくれたお陰で、最終的には"スロー"プロペラクラッチができるようになった。

 なんといっても、メイの教え方がうますぎる。相手のレベルに合わせて的確なアドバイスをした上で、「これならできる」と思わせてくれる。天才レスラー・駿河メイは、コーチとしても天才だった。

 プロレスは観るだけでも楽しいが、やってみるともっと楽しい。ダレジョに通っていた頃のメイも、きっとこんな気持ちだったのだろう。そして今もきっと、その延長線上にいる。「天才レスラー」と呼ばれるようになった今も、あの頃の楽しさを彼女は抱き続けているのだろうと思った。

【プロフィール】
駿河メイ(するが・めい)

1999年5月30日、京都府生まれ。2018年4月に上京し、プロレスリング我闘雲舞の練習生となる。同年5月27日、北沢タウンホール大会にて、さくらえみ戦でデビュー。2020年12月31日、バリヤン・アッキとのタッグでさくらえみ&米山香織を破り、アジアドリームタッグ新王者に輝く。11度防衛。2023年10月16日、米山香織&新納刃を破り、再びアジアドリームタッグ王者になり、現在防衛中。148cm。X(旧Twitter)@Mei_gtmv2

【大会情報】

我闘雲舞新宿大会

■日時:2024年1月10日(水)開場18:30 開始19:00
■会場:新宿FACE

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