寺地拳四朗から那須川天心への伝言「課題はわかっているはず」 あえて助言するなら「駆け引きが毎回リセットされている」 (3ページ目)

  • 会津泰成●文・取材 text by Aizu Yasunari
  • ヤナガワゴーッ!●撮影

ともに戦う三迫貴志会長(左)と加藤健太トレーナー(右)。4団体統一を目指す上でなくてはならない存在 photo by Aizu Yasunariともに戦う三迫貴志会長(左)と加藤健太トレーナー(右)。4団体統一を目指す上でなくてはならない存在 photo by Aizu Yasunari 拳四朗は、試合で勝利しても、自分のことよりも周りに対する感謝を一番に伝える。自分がベルトを巻くよりも先に、父親の永氏やトレーナーの加藤に巻かせようとしたこともあった。素直で、誰に対しても分け隔てなく接し、まわりを大切に、感謝を忘れない選手だからこそ、誰もが『チーム三迫』の仲間として協力したい、自然と応援したいという気持ちになるそうだ。

 目標とする井上尚弥に次ぐ日本人ふたり目の4団体統一王者、そして2階級制覇は、交渉さえまとまれば、かなり現実味のある目標と言えた。あとはタイミング次第。こればかりは運にも左右されるので、陣営としてはいつ時がきてもいいように万全の体制で待ち続けるしかない。

「矢吹戦を境に、拳四朗は新しいスタートをきったというか、第2章が始まったと思います。以前は、13回連続防衛(具志堅用高氏の持つ、日本人による世界戦連続防衛記録)とか『防衛できればいい。とにかく勝てればいいんだ』というような話が多かったように思います。

 今は会見でも、記録についてよりも『強い相手と戦いたい』と話すようになりました。4団体統一という目標も、突き詰めれば『一番強い世界チャンピオンになりたい』ということ。2階級制覇も同じように『強い相手と戦いたい』という思いからではないでしょうか。いまの拳四朗は『記録を残すことよりも、純粋に強い相手と戦いたい』という気持ちでリングに上がっているように感じています」(三迫会長)

 三迫会長の話を、拳四朗は隣で頷きつつ聞き、「めっちゃ盛り上がる試合がしたいですね」と答えた。それを受けて三迫会長は、「あくまでわたしの夢ですが......」と断った上で、こんな仰天プランを話してくれた。

「仮にノンタイトル戦でも、誰もが驚くようなビッグマッチが実現できれば面白いな、と思います。

 メイウェザー対パッキャオ戦(2015年5月2日、米ラスベガスのMGMグランドガーデンアリーナで行なわれた世紀の一戦。ボクシング史上最高の売り上げを叩き出した)も、タイトル云々は関係ない話でしたよね。

 日本でも昔、小林弘さんと西城正三さんという、階級の違う全盛期の現役世界チャンピオン同士がノンタイトルで対戦(1970年12月3日。WBAジュニアライト級王者小林弘と、WBA世界フェザー級王者西城正三のノンタイトル10回戦。会場の日大講堂は1万2000人の超満札止め。中継した日本テレビの視聴率は45.3%を記録した)したこともありました。

 海外とは違って日本はまだまだタイトル至上主義なので、実際試合を組むとなれば難しい部分はもちろんあります。それでも、拳四朗に対抗できるようなライバルがいるならばタイトルや国内開催、海外開催関係なく、ファンも選手もワクワクするような試合が実現できれば面白いなと思います」

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