井上尚弥・拓真のいとこ、浩樹が目指すは2階級王者 「オタクボクサー」としてラスベガスで叶えたい夢も語った (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 撮影●山口裕朗 photo by Yamaguchi Hiroaki

【相手を「倒せる」パンチとは?】

――以前にインタビューした際には、「復帰戦はウェルター級も視野に入っている」とも話していました。そんな中で、スーパーライト級を選んだ理由は?

「復帰するならば、やはり『世界チャンピオンになりたい』と思ったので、まずは戦い慣れたスーパーライト級でチャンピオンになり、その後、ウェルター級に上げたほうがいいと考えたんです。僕の残りの現役生活は、おそらく5、6年くらいだと思うので、その間に果たしたいです」

――4月8日の東京・有明アリーナでは、井上拓真選手(大橋)がリボリオ・ソリス(ベネズエラ)選手に3-0で判定勝ちし、WBA世界バンタム級で新王者となりました。ご覧になっていかがでしたか?

「試合前から、ベルトにかける強い思いは感じていましたし、練習に打ち込む姿を近くで見ていたので、『当然の結果だな』とも思います」

――近くで見ているからこそ感じる、拓真選手の強みはどこにありますか?

「『相手のいいところを消す、何もさせなくする』ところでしょうか。自分が相手より先に動いて打ちにいっても、返しのパンチをもらわないところもそうですね」

――ここまでは18勝のうち4KOで「負けないボクサー」のイメージもありますが、倒して勝つことへのこだわりも感じますか?

「あると思います。KO数が少ないのは彼の課題でもありますし、モヤモヤしている部分が試合でも出ているのかなと。倒すことを気にしすぎて、歯車が噛み合わないような時もある。僕たちはプロで、お客さんあっての競技をしているので、『楽しませる』という意味ではKOも見せなきゃいけない側面もあります。拓真に直接聞いたことはないんですけど、練習を見ていても葛藤が見えますね」

――さまざまな要素があると思いますが、相手を倒すために大事なのは?

「"力の伝え方"でしょうか。どれだけ力を拳に乗せて、相手に衝撃をうまく伝えるか。上体だけで打ったり、力んで打ったりするとインパクトは弱かったりします。

 あとは、打つタイミング。バックステップなどで、相手のパンチが絶対に当たらないところまで大きく避けてしまうと、反撃するまでの時間は長くなってしまう。そのロスをいかに小さくするかが重要です。その分、自分にもリスクはあるんですが、パンチを避けた刹那、相手が反応できないタイミングで打てれば確実に倒せます」

――KOするにはパンチ力、パワーが重要と思われがちですが、タイミングによるところが大きいということですか?

「そう思いますね。ゴリゴリの筋肉質な選手じゃなくて、一見細くてヒョロッとした選手でも、タイミングで倒す人もいますから。もちろん、一発の重さ、パワーがあるに越したことはないけど、力一辺倒になっても倒せない。パワーとタイミングのバランスが大事だと思います」

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