井上尚弥の4階級制覇のカギは?米識者3人は「最強の相手」フルトンとのビッグファイトを大接戦と予想 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images、Kyodo News

ナム フルトンvs井上は、現在のボクシングビジネスのなかでは異例の一戦だ。この試合が成立したことは喜ぶべきサプライズ。プロモーション面でどれだけ障壁があろうと、2人のボクサーが心底から望んだ場合、ビッグファイトが実現し得ることを示している。

エイブラムス 今戦が成立したのはすごいこと。ライトフライ級からキャリアをスタートさせた井上が徐々に階級を上げ、4階級目のスーパーバンタム級で、いきなり最強の相手に挑もうとしている。

 一方のフルトンもアメリカに残り、体重調整も簡単なフェザー級で戦うこともできたのに、あえて日本に行ってパウンド・フォー・パウンド最強のひとりである選手と戦おうとしている。両者ともに報酬面の見返りは大きく、同時に懸けるものも多い。自身のレガシーを築くために、多大なリスクを背負おうとしている。

Q2.勝負のカギとなるのは?

アイデック フルトンはとても知的な選手で、優れたフットワーク、ジャブを持っている。井上の過去の対戦相手のように"モンスター"のパワーを恐れることはないだろう。サイズでも上回り、「敵地でも勝てる」という自信に満ちている。

 過去にフルトンと対戦した選手たちは「フルトンは戦績が示す以上にパワーがある」とも口にしているが、やはりビッグパンチャーとは言えない。相手を警戒させるようなパワーはないフルトンが、井上を相手にフルラウンドにわたってアウトボックスできるかが見どころになる。

ナム スーパーバンタム級はフルトンにとってナチュラルウェイト。身体能力が高く、この階級で多くの強豪を下してきた王者でもある。ただ、フルトンも井上ほどのパワー、スピードを備えた選手との対戦はこれが初めて。フルトンが井上のパンチに耐えられるかどうかがポイントになると思う。

エイブラムス まずは井上が、スーパーバンタム級でもこれまでどおり相手にダメージを与えられるかどうかに注目したい。井上は強烈なパンチャーとして名を馳せているが、これまでフルトンはパンチでダメージを負ったり、危機に陥った場面もない。そして、井上より体が大きい。

 そんなフルトンが、明白な形でラウンドを制することができるかどうかが焦点だ。手数が多く、インファイトも好むフルトンは、敵地のリングでどうやってポイントを奪っていくのか。試合のどこかで打ち合う場面は出てくるはずで、そこで屈しなければフルトンの勝機は膨らむはずだ。

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