RIZIN はBellatorに善戦も結果は5戦全敗。解説者・大沢ケンジが語る、日本と世界の「トータル力」の差とその埋め方 (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by Motoo Naka/アフロ

【日本と世界の格闘技の差】

 RIZINの副将クレベル・コイケと大将ホベルト・サトシ・ソウザは、ともに静岡にあるボンサイ柔術所属で、これまでRIZINのリングでは"捕まえたら終わり"と思えるほど、驚異的な決定力で一本勝ちを収めてきた。しかし今回は、それぞれの対戦相手であるパトリシオ・ピットブル、AJ・マッキーを捕まえきれなかった。

 大沢氏はBellatorの副将で、同団体のパウンド・フォー・パウンド(PFP)1位にランキングされているピットブルのオールラウンダーぶりを評価しながら、試合について次のように分析した。

「ピットブルは、クレベルの寝技を警戒しつつ打撃を効果的に当てていました。クレベルがロープを背負っても決して深追いしなかった。クレベルからすれば、ピットブルが前に出てきてくれたほうが捕まえられる可能性はあったんですけどね。クレベルは独特の打撃で距離を潰して組みつきたかったところですが、両者の打撃力の差は大きかったです」

 さらにサトシvs AJについては、「AJ選手の対応力、ディフェンス能力が高かった。サトシの三角締めやリアネイキッドチョークも冷静にしのいでいました。打撃はAJが上ですから、こちらもMMAファイターしてのトータル力が上回ったということでしょう」と振り返った。それでもRIZINの大将サトシについては、「やはり寝技が世界トップクラスなのは間違いありません。今の戦い方で世界のトップ選手と十分に戦えることも証明されたと思います」と評した。

 RIZINの選手たちがMMAファイターとして、トータルでレベルアップするにはどうすればいいのか。大沢氏は自身の見解をこう述べる。

「打撃や組み......細かく言うと、ボクシング、キックボクシング、レスリング、柔術といろいろありますが、その選手が足りない部分を練習でスキルアップした上で、MMAの戦い方に落とし込むのがいいと思います。世界のトップと戦うとなると全要素のレベルアップが必要ですから、壁にぶつかってからではなく、できるだけ早くから取り組めればいいのかなと思います」

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