目前だった井岡一翔の「統一戦計画」は遠のくばかり。新ライバル誕生の可能性は? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

新ライバル誕生の可能性は?

 契約上で保証されたリマッチは魅力的であり、最終的にそちらに傾く可能性も十分にありそう。マルティネスとアンカハスの再戦が施行された場合、何らかの特例でダイレクトリマッチが認められるにせよ、マルティネスが1戦を挟むにせよ、井岡の統一戦は遠のく。そうなった場合、井岡陣営はマッチメイクにはさらに頭を悩ませることになりそうだ。

 現在のスーパーフライ級は群雄割拠。WBAスーパー王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、元WBC王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア/帝拳ジム)といった名実を兼ね備えた重鎮たちが名を連ねているが、エストラーダとゴンサレスは3度目の対戦をすでに視界に捉えている。

 2月5日には、帝拳ジムの契約選手でもあるジェシー・"バム"・ロドリゲス(アメリカ)がWBC王座を獲得したばかり。ただ、素質を高く評価されるロドリゲスは、もともとライトフライ級で戦っていた選手であり、スーパーフライ級に残るかどうかは定かではない。

 このように、井岡にとって統一戦の"ダンスパートナー探し"は簡単ではない。ただ、3月5日にサンディエゴで行なわれるWBC世界フライ級王者フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)対ゴンサレスで、ゴンサレスが番狂わせで敗れた場合はどうだろうか?

 あくまで筆者の想像だが、WBAから対戦指令が出ているWBA正規王者ジョシュア・フランコ(アメリカ)との指名戦をクリアしたあと、いや、その前でも、エストラーダとプロモーターの「マッチルーム・スポーツ」が井岡に興味を持つことがあるのかもしれない。だとすれば、もともと激戦が期待されたマルチネス対ゴンサレス戦はさらに注目の一戦になるが......。

 ボクシングにおけるビッグファイトは、本当にわずかなボタンのかけ違いで危うくなるもの。その理由は金銭、病気やケガ、あるいは主役のボクサーの心変わりなどさまざまだが、今回は"王者の敗戦"というシンプルな要素で多くの人たちが楽しみにしていた統一戦がなくなった。

 このもどかしさもボクシングの特徴のひとつではあるが、最後はやはりハッピーエンドを迎えたい。今後、名選手ぞろいのスーパーフライ級の中で、いずれかのタイトルホルダーが井岡の新ライバルとして浮上する流れを期待したいところだ。

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