「なんで自分はこうなんだ！」悩み続けたアイドル時代。伊藤麻希はプロレスに生きる道を見つけた (4ページ目)

2021年10月27日 12:35 更新

尾崎ムギ子●文　text by Ozaki Mugiko

　プロデビューは、2016年12月11日。博多スターレーンでの山下実優戦だ。

「山下実優は強いです。でも私は彼女が歩んでこなかった人生を歩んでいるから、その点で自信はあったんですよ。彼女が見せられないものを自分は見せられると思っていた。プロレスって結局、勝ち負けよりも、どれだけお客さんが感動できるかが大事なんじゃないかと思うんです。私には山下実優が歩んでこなかった人生という武器があったから、わりと怖くはなかったんですよね」

　結果は山下に敗れたものの、確かな手応えを感じた。

　伊藤麻希のプロレスには、生き様が出る。それがずっとファンに支持されてきた。しかし、「最近、出ないんですよ」という。

　生き様が出ない――伊藤に一体、なにが起きたのだろうか。

（後編：強くなって失った「生き様」。見せる「必要がなくなった」＞＞）

【プロフィール】
■伊藤麻希（いとう・まき）
1995年７月22日、福岡県小郡市生まれ。160cm。2011年７月、「LinQ」２期生としてグループに加入。2013年８月13日、DDT両国国技館大会にゲスト出演したのをきっかけに、プロレスに興味を持つ。2016年12月11日、博多スターレーンでの山下実優戦でプロデビュー。2019年10月19日、インターナショナル・プリンセス王座を戴冠。2021年２月、AEW女子世界王座次期挑戦者トーナメント日本サイド出場。１回戦で水波綾に敗退するも、アメリカで爆発的な人気を博す。
Twitter＞＞@maki_itoh