【ボクシング】日本人王者がラスベガスに呼ばれるためには? (4ページ目)

  • 原 功●取材・文 text by Hara Isao  矢野森智明●写真 photo by Yanomori Tomoaki

 ついスーパースターのケタ違いの報酬にばかり目がいってしまうが、同じ世界チャンピオンでも不遇をかこつ選手もいる。最近の10試合中6試合をラスベガスで行なっているIBFライト級王者のミッキー・ベイ(アメリカ)は、4月30日にラスベガスで防衛戦を予定していたが、プロモーターから提示された20万ドル(約2400万円)の報酬に不満を唱えて興行権入札を要求。その結果、相手陣営が落札したため、報酬は5万8500ドル(約700万円)に減額になってしまった。

 このように世界チャンピオンといえども、必ずしも全員が厚遇を受けているわけではないのである。特にスポーツエンターテインメントとしての評価が問われるラスベガスでは、選手の人気や知名度、集客力が重要視される傾向がある。

 日本のトップ選手たちのラスベガス進出は、こうしたことを念頭に置いて考える必要があるだろう。厳しい見方をするならば、仮にアメリカサイドのプロモートで、日本のトップ選手がラスベガスで防衛戦を行なったとしても、日本サイドのサポートがない限り、日本国内で手にしている金額を得ることは難しいと言わざるを得ない。インターネットが発達している現在でも、マニアかマスコミ、ボクシング関係者でない限り、他国の選手の情報にはうといのである。日本のトップ選手たちに関しても例外ではない。パッキャオのようにラスベガスで大金を手にするには、まずは名前を売る必要がある。そのためには、数試合の「先行投資」を覚悟しなければなるまい。

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