【今日は何の日?】カシアス・クレイが世界チャンプに
蝶のように舞い、蜂のようにソニー・リストン(左)を刺したカシアス・クレイ(右)【1964年2月25日】
ヘビー級王座を獲得した直後、『モハメド・アリ』に改名
1960年のローマ五輪で金メダル(ライトヘビー級)に輝いたカシアス・クレイは、プロ転向後、19勝無敗と破竹(はちく)の勢いで連勝街道を突き進み、1964年、ついに世界タイトルマッチの切符を手に入れた。対戦相手は、当時史上最強と言われた刑務所上がりの世界王者、ソニー・リストン。天才ボクサーのフロイド・パターソンを2度も1ラウンドでKOするなど、リストンは最も脂の乗り切った時期だった。
下馬評は、クレイの圧倒的不利。リストンが早々にハードパンチで試合の幕を降ろすと予想された。しかし、試合が始まると、クレイの軽快な動きにリストンは翻弄され、自慢のパンチはことごとく空振りに。一方、クレイは小刻みにジャブをヒットさせ、リストンの体力を奪っていった。そして7ラウンド、ゴングが鳴るものの、顔の腫れ上がったリストンは立ち上がることができず、試合はあっけなく終了。クレイは初挑戦で、世界ヘビー級の王座を獲得した。
直後、クレイはイスラム教徒であると公表し、『モハメド・アリ』に改名。その後、ベトナム戦争への兵役拒否、ヘビー級タイトル剥奪、そして奇跡の王座返り咲きなど、ボクシング内外で注目を集める存在となった。