女子バレー石川真佑がイタリアで気づいた世界との差「日本では経験できなかった」こととは (2ページ目)

  • 坂口功将●取材・文 text & photo by Sakaguchi Kosuke

【日本代表の「まだまだ足りない部分」】

――今季のセリエAには、世界トップレベルの選手が揃っています。そこでプレーして実感することはありますか?

「イタリアでは、本当に多くのトップクラスの選手がプレーしています。代表シーズンでいつも対戦している顔ぶれもいて、ネット越しに『この選手は、日本代表として戦う際に抑えないといけない相手だ』と思うこともあります。どのチームにもいい選手がたくさんいるので、毎試合が刺激になっています。

 日本代表で戦う時とはまた違った気持ちなんですが、そうした環境でプレーできるのは、今の代表では私しかいない。確実に成長のプラスになっています」

――日本代表に関しては、2024年度の大会スケジュールや登録メンバーが発表されましたね。

「今年はパリ五輪がありますし、合宿の予定も聞いているので意識する部分はあります。昨年のパリ五輪予選で出場権が獲れなかったので、今年のネーションズリーグではしっかりと結果を出さなければいけません。そこに向けて、心も体も準備していきたいです」

――パリ五輪予選では世界ランキング1位のトルコや、同3位のブラジルと競り合う場面もありました。振り返ってみていかがですか?

「いい試合、いいプレーはたくさんありましたし、強豪国相手にまったく勝てないというわけではなかったと思います。ですが、あらゆるプレー面でレベルアップさせることはもちろん、最後の、特に劣勢の場面でのメンタル面に関してはまだまだ足りないと感じました。相手チームのほうが、『勝つ』という気持ちをしっかり表現していましたから。そこは私自身も、チームとしても変わっていかなければいけません」

――石川選手は昨年度の日本代表で、ベンチに控えることもありましたね。

「そうですね。これまでは、チームにおける自分の役割もあって必ずしもコートに立っていたわけではありませんでした。ただ、こうしてイタリアでシーズンを過ごして、『やってきたことを日本代表で少しでも出したい』と思っています。ここでの経験があるからこそ、『やってやるぞ』という気持ちは強いです」

――先ほど課題と話していたメンタル面も、イタリアで強くなっていますか?

「ミスをしてしまったりすると『あぁ......』となる場面はありますが、切り替えられるようになりました。さらに、1点が決まった時の周囲の喜び方など、そうした"アグレッシブさ"は日本では経験できなかった。試合を重ねながら変われている、成長できている部分ですね」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る