栗原恵が春高バレー女子で注目したチームと選手 プレーが「胸に残った」就実、大友愛の娘は「ずっと狙われていた」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

【「心配していた」母校の奮闘】

―― 一方の下北沢成徳は、小川監督時代はオープントスで高いセットを打ち切るバレーという印象がありました。伊藤新監督になって変わりましたか?

栗原 持ち味のハイセットは健在でしたが、セカンドテンポ(アタッカーがセッターのトスアップとほぼ同時に助走を開始するプレー)だけじゃなく、ファーストテンポ(アタッカーがセッターのセットアップよりも前に助走を開始するプレー)のスパイクも入れていましたね。また違った魅力があるバレーを見せてくれました。

――それでも、三冠にはあと一歩届かなかったですね。

栗原 インターハイなどでどうだったのかはわかりませんが、春高では表情に少し焦りが見えたというか、初戦から苦しんでいるように見えました。選手たちの能力はすばらしいですし、二冠を取っていて"勝負勘"もあったから決勝までいけたわけですが......高さがあるチームのわりに、ブロックがそこまで機能していなかったかと。それがフロアディフェンスにも影響したでしょうし、ちょっとした歪みをなかなか修正できなかったように見えました。

――栗原さんの母校で、前回大会の準優勝校である誠英(旧・三田尻女子)は、優勝した就実と準決勝で当たって惜しくも敗退しました。

栗原 3年生のエース・上村日菜選手は、2年生だった昨年も上級生の中に入ってチームを引っ張っていたんです。なので、自分の高校時代と重ねて見てしまって。私は1、2年生の時にすばらしい先輩たちの中に入れてもらえて、春高でもいい経験ができました。自分が最上級生になった時には、私以外の選手がそういう舞台を経験していなくて、周囲を鼓舞しながらプレーする立場になった。そんなことを思い出しました。

 上村選手はブロックを使うのがうまくて、吸いこませたり、ブロックアウトを取ったり。身長168cmとは思えない高さを感じさせてくれました。守備のほうも昨年に続いて"要"になっていましたし、攻守ともにチームをけん引していました。

 正直、就実は頭ひとつ抜けている感じだったので、「誠英はどう戦うんだろう」と少し心配していたんです。でも試合では、攻撃枚数が揃っている就実にディフェンスで粘っていた。負けはしましたが、先輩としてジーンときましたし、嬉しかったです。

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