日本男子バレーはエジプト戦の大逆転負けからなぜ立ち直れたのか? 攻守のキーマンが明かす (3ページ目)

  • Text by Sportiva
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 だからこそ、1勝1敗の"崖っぷち"で迎えた第3戦のチュニジア戦では「勝ちにこだわって自分のよさが出ないんだったら、まず自分のよさを出していこう」と、持ち味である「積極的にクイックを使うトス回し」に立ち返った。

 第1セットの1点目を小野寺の速攻で奪うと、そこから「これでもか」と言わんばかりにクイック、パイプと中央エリアからの攻撃を徹底して使っていく。そうなると、必然的に両サイドへの相手ブロックのマークが薄くなり、レフトからは石川や髙橋、ライトからは西田有志(パナソニック)が楽に決められる場面が増えた。結果はストレートで完勝。この試合で、日本の攻撃は本来のリズムを取り戻した。

 そして、日本戦を前にセルビアに土をつけ、アメリカにも善戦したトルコとの一戦。ひとつ目のヤマ場とみられたその第4戦では、ミドルブロッカーの髙橋健太郎(東レ)や小野寺、リベロ山本智を中心とした堅守が戻った。

 エジプト戦では出場機会がなく、ベンチから戦況を分析していた髙橋健は言う。

「エジプト戦はディフェンスで"かけ違い"があった。ブロックでどこを止めたいか、どこを抜かせるか、というレシーブとの前後の関係ができてなかった。『自分はここに行くから、ここ抜けてくるよ』とか、そういうコミュニケーションが取れていれば、フルセットにいくまでにかけ違いは直っていたと思う」

 山内が肩を痛めたこともあって、チュニジア戦から先発になった高橋健は積極的な意思疎通を心がけ、ディフェンス面でチームを立て直すキーマンとなった。

「毎回、『ここ開けるよ』とか『ここ閉めるよ』とか『ここを拾ってね』とか、確認はしっかりするようにしていました。あとは、プレーが終わった後の答え合わせもジェスチャーでもらうようにしているので、コミュニケーションはしっかりできている」(髙橋健)

 身長211cmのアディス・ラグンジヤ、207cmのミルザ・ラグンジヤを筆頭に高い攻撃力を誇るトルコに、コミュニケーションによって再構築された日本の守備は完璧に対応した。ブロックではトルコより1点多い6点を奪い、スパイクを拾ったディグの本数はトルコの17本に対して日本は32本と圧倒。ブロックとレシーブの関係に血が通い、相手の攻撃を切り返してブレイクする強みがよみがえった。

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