日本男子バレーはエジプト戦の大逆転負けからなぜ立ち直れたのか? 攻守のキーマンが明かす (2ページ目)

  • Text by Sportiva
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 エジプトはなんとか耐えて自陣内にサーブレシーブをとどめ、2段トスを上げ、日本のブロックをはじき飛ばすスパイクで得点を重ねていった。今季、日本が躍進した武器のひとつであるブロックとレシーブの堅固な関係からなる切り返しの攻撃を封じられ、ブレイク得点が奪えなくなって日本はリズムを失った。

 今季、これまで対戦してきた国は、あそこまで徹底してブロックアウトを狙う攻撃をしてこなかった。だからこそ、日本のコートは混乱に陥った。

 リベロの山本智大(パナソニック)は、後日こう振り返っている。

「今までネーションズリーグなどで戦ってきた相手は、ブロック(の間)を抜いて(打って)きたので拾えたんですけど、エジプトはひたすら思いっきりブロックの指先を目がけて打ってきた。そこで、ブロックの手を引くとか、バックセンターの選手がコートの外で待ってワンタッチボールに備えるとか、そういう対策を試合中にできれば展開も変わったかなと、反省はありました」

 もうひとつの失速した要因は、攻撃での創造性を欠いたことだ。エジプト戦の第3セットから第5セットで、日本のミドルブロッカーのスパイク打数は6本だけ。石川祐希(ミラノ)や髙橋藍(日体大)のパイプ(中央からのバックアタック)も影を潜め、サイド偏重の単調なバレーになってサイドアウトを奪えなくなってしまった。

【チームを立て直した2人のキーマン】

 今季の躍進の原動力となった攻守のストロングポイントを発揮できずに喫した、大会序盤での黒星。ダメージを引きずりそうなところでチームを立て直したのは、ふたりの選手だった。

 ひとりはセッターの関田誠大(ジェイテクト)。エジプト戦後は目に涙を浮かべ「今日はちょっと......」と取材を受けずに引き上げるほどだったが、第3戦との間にあった休養日で気持ちを切り替えた。

「弱気になっていた部分はあると思う。結果にこだわりすぎると、自分のよさがなくなったり、単調になったりと、プレーに出てきてしまう。積極性をなかなか出せず、自分自身で自分を苦しめていた」

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