石川祐希が振り返る完全アウェーでのイラン戦の圧勝 男子バレー日本代表の成長を実感 (2ページ目)

  • 柄谷雅紀●取材・文 text by karaya masaki
  • 立松尚積●撮影 photo by Tatematsu Naozumi

【完全アウェーでイランに勝利した意味】

――前回のアジア選手権は千葉で行なわれ、決勝でイランに敗れました。今度は相手のホームでしたが、やり返してやるという思いはありましたか。

「前回は東京五輪が終わった後で、そのシーズンの最大の目標が終わった後だったので、モチベーションを維持するのが難しい状況でもありました。でも、今回はアジア選手権の後にパリ五輪予選が控えています。そのためのステップだと考えていました。

 アウェーの雰囲気で、メンバーを揃えてきたイランに勝ちたいという思いが非常に強かったです。それが決勝で、僕だけでなく全選手がしっかり気持ちを上げて、いいパフォーマンスを出せたことにつながったと思います。アジア選手権のレベルを考えると、決勝以外はコンディションがよかろうが悪かろうが、気持ちが作れていようがいなかろうが、勝ててしまう大会です。大会の入りは決してすごくよかったわけではありませんが、選手それぞれが決勝に向けてパフォーマンスを上げていけたことに意味があると思います」

――試合後には、これまで味わったことのない雰囲気や環境だったとおっしゃっていました。どのような感じだったのですか。

「会場のアウェーの雰囲気もそうですし、ホテルでの食事もそうです。ホテルからあまり外に出られず、常にホテルで過ごす生活でしたがネット環境がよくなかったこともストレスでした。食事は、イランの主食は米なのですが、長粒米でパサパサしており量を食べるのがきつかった。パスタもあったのですが、辛い味つけであまり口に合いませんでした。炊飯器をチームで持ち込んでおり、現地の方が日本米に近いお米を用意してくれたおかげで何となりましたね。

 短い期間で試合がたくさんあったので、エネルギーをしっかり補給しなければいけません。一番欠けてしまいそうなところだったので、お米を食べられたのは本当に助かりました。食事は決して満足いくものではなかったですが、その中でも勝ちきるという結果を残せたのはひとつの成果だと思います」

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