「男子に比べて女子バレー日本代表は大丈夫か」の不安を払拭できるか 栗原恵がポジション別に評価 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • Photo by FIVB

――OQT後、今シーズンからイタリア・セリエAのフィレンツェでプレーする石川真佑選手のプレーはいかがでしたか?

栗原 石川選手はサーブが大きな武器ですね。無回転のサーブを相手もすごく嫌がっていましたし、そこからの連続得点も多かった。今大会は2段トスをブロックされる場面もありましたが、イタリアではそういう場面が多くなると思うので、その部分も成長することができると思います。

――栗原さんも海外でのプレー経験がありますが、その経験はどのように生かされましたか?

栗原 私は海外で長くプレーしたわけではないですが、移動の多さなど、まったく日本と勝手が違うので、いろんなことに動じなくなると思います。日本では当たり前だと思っていたことがすごく恵まれていることに気づくでしょうし、バレーボールでもそれ以外の部分でも、ひと回りもふた回りも大きくなって帰ってきてくれることを期待しています。

【速いバレー完成のカギを握るセッターは?】

――続いてセッターに関しては、関菜々巳選手の起用が多かったと思います。彼女の速いトスは、第1次政権時の眞鍋監督、前監督の中田久美さんも目指してきた速いバレーの完成のカギを握りそうですね。

栗原 完成させてほしいですね。ただ、昨年よりもトスが速くなり、2段トスまで速くなっているので、なかなか打ち切れないボールも多いように感じました。世界を相手にするとブロックが高いので、2段トスをあえてネットから離してアタッカーに選択肢を与えようとする意図も見えました。ただ、そういった意図があるトスと、アタッカーの助走の入りの"呼吸"が合ってないのかなという場面が何度か見られましたね。

 これまでだと、2段トスは高くフワッと上げたボールを強打で打ち切るという共通認識があったと思うのですが、そういった約束がチームで確立されてなかったのかもしれません。2段トスはただでさえ打つ際の体勢がよくないですし、トスが速くなると準備する時間もなくなる。その中で相手の状況、ブロッカーを見て打つとなると、より判断力や体のコントロール、精密さが問われることになります。

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