石川祐希を軸に「誰が出ても強い」無敗の日本男子バレー 30年ぶりのブラジル撃破にも期待が膨らむ (2ページ目)

  • 柄谷雅紀●取材・文 text by karaya masaki
  • Photo by FIVB

 第3セットでは、20―19で石川に代わって入った富田将馬(東レ)が役割を果たした。アレクサンダル・ニコロフの強力なサーブを体に当てながらも返球し、1本で乗り切る。コートに入っていきなり、世界でも屈指の威力を持つニコロフのサーブを上げることは容易ではない。それでも、富田はやってのけた。

 9月に始まる2024年パリ五輪予選の最後の3試合がセルビア、スロベニア、米国との戦いになり、この3連戦が五輪切符の行方を左右することを見据え、「石川を後衛だけでも休ませる」(ブラン監督)という狙いを持った起用に見事に応えた。

 名古屋での最後の試合となった6月11日のフランス戦も、選手層の厚さが光った。東京五輪覇者のフランスは主力の多くが不在とは言え、レベルが高く苦戦した。苦境を打ち破ったのは、それまで出番が少なかったオポジットの宮浦健人(ジェイテクト)と、2番手のセッター深津旭弘(東京GB)だった。

 第3セット終盤の1点を競り合う場面でコートに入り、第4セットはそのままスタートから出場。宮浦は右から左から、そして前から後ろから強打をたたき込み、サーブエースも奪って13得点という衝撃的な活躍ぶり。深津も安定したトスを供給し、存在感をアピールした。

 もちろんこの4戦での、石川の存在感は言うまでもない。ベストスコアラー部門では70得点で全体8位、ベストアタッカー部門では1試合平均14.75得点で7位、6本のサービスエースを奪ったベストサーバー部門では6位、ベストレシーバー部門では3位に入り、いずれもチームトップ。チームの中心であるのは間違いない事実だ。だが、日本の強さは石川ひとりだけによるものではないことを証明した4戦でもあった。

 石川の対角を担う髙橋藍(日体大)は安定したサーブレシーブでチームの土台となり、イタリア1部リーグで揉まれて高さとうまさ、力強さが増したスパイクは攻撃の核にもなった。オポジットの西田はサーブで苦戦したものの、セルビア戦ではチームトップの24得点と大爆発。得点能力の高さは健在だった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る