西田有志が振り返る男子バレー日本代表の進化。パリ五輪予選に向けて「どのメンバーが出ても結果が出せる」 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

【世界バレーでは「祐希さんがいない分も」】

 あらためて当時のことを尋ねると、次のように実情を伝えてくれた。

「昨年度の日程は、これまでチーム全体でも経験したことがないくらいのハードスケジュールで進んでいたので、ストレスを感じましたし、それをリカバリーするための時間がなかなかとれなかったですね。それについては(日本代表のフィリップ・)ブラン監督や選手だけじゃなくて、スタッフともいろいろ話をしました。ブラン監督もスケジュールについては懸念していて、実際に動いてくれた。それでも変えられない部分がありましたが、今後はいろいろと改善されていくんじゃないかと思います」

 VNLのファイナルラウンドで左足首をケガした主将の石川祐希は、世界バレーでは状態が万全ではなかった。予選は大塚達宣が代わりに入っていたが、西田にかかる負担は大きかっただろう。

「アスリートにケガはつき物ですから、仕方がないことです。負担やプレッシャーは全員が感じていたと思いますが、特に僕は得点を取らなくてはいけないポジションですから、『祐希さんがいない分も』という気持ちが強かったです。ただ、どのメンバーが出ても結果が出せるようになってきましたし、もっとチーム力を上げることはできると思います」

 実際に日本代表は、世界バレーで目標の「ベスト8」には届かなかったものの好調を維持した。

「予選ラウンド初戦のカタールにしっかり勝つことは前提として、やはり同組の強豪のブラジルやキューバにも勝たないといけないと考えていました。予選ラウンド通過は簡単ではなかったですし、1試合ごとにチームの状態をどう上げていくかがすごく大事だったので、プレッシャーはすごかったですね。

 予選2戦目のキューバとは対戦が久しぶり(6年ぶり)で、現チームのデータも少なかったですが、そんな中でいい入りをして白星を挙げられたことはよかった。決勝トーナメントは初戦で(五輪覇者の)フランスとの対戦になりましたが、いずれ格上のチームと当たることに変わりはありませんでしたからね。負けはしましたが、日本代表としては形がだんだんよくなってきている印象があります」

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