【女子バレー】NECが逆転V! 久光一強時代から新しい局面へ (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 10年ぶりの優勝ということで、10年前の優勝のことを知っているかという質問に対して、「先週のファイナル3で勝ったときに、記者の方から優勝すると10年ぶりですねといわれて初めて知りました」という選手が多く、古賀にいたっては「前の優勝のときは、8歳だったので……まったく知りませんでした(笑)」。

 山田監督だけは、コーチとして経験があり、その前のNECが何度も優勝していた時代を知っているスタッフだったが、「その時は葛和(伸元)さんというカリスマ監督がいらして、自分は同じようには絶対できないと思って、自分らしいカラーを出していこうと思っていました。ただ、伝統の粘り、拾ってつなぐバレーは受け継いできたつもりです」。

 先週、甲子園では母校の東海大付属第四高校が準優勝だったことは、ちらりと頭をよぎったという。野球部監督も同い年で知り合い。しかし、準優勝だったことにがっかりするのではなく、勇気をもらえたという山田監督は、母校のためにも勝てて良かったと顔をほころばせていた。
 
 一方、まさかの敗戦となった久光の選手たちは、記者会見の場でも口が重く、中でも新鍋理沙は「すみません、今は何も出てきません。すみません」と一切のコメントを拒絶。また、サーブで狙われ続け、スパイク決定率が17.8%に封じ込められた石井優希も「NECさんは過去の試合でも、どんなローテーションでも私をサーブで狙ってくることはわかっていた。準備はしていたつもりだったが、Aパス・Bパス(セッターを動かさずに戻すサーブレシーブ)を返すことができず、ミドルの攻撃を使わせてもらえずに、足を引っ張ってしまった。本当に自分が情けない」と嗚咽を漏らした。

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