錦織圭・単独インタビュー 8カ月ぶりの復帰に「ちょっと浦島太郎感」 引退について「急にもう今年までって言うかも」 (4ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

 まだ、自分がそこに追いつけるレベルまで達してないと思うので、まずは自分の調子を取り戻すことが最初ですけど。自信がついてきたら、またこういうトップの選手と戦えるようになったらうれしいです」

 いずれも10歳以上年少のアルカラス(20歳)やシナー(22歳)とは、錦織は未対戦。それ以前に今大会の選手ラウンジを訪れても、名前と顔が一致しない選手も少なくない。そんなラウンジの光景を見ながら、やはり時間の流れを感じずにはいられなかったと言う。

「本当に若い選手が増えてきて、知らない選手がまあまあいるんですよ。それが本当、こう......年を取ったなって、自分が。2〜3年、ほぼツアーにいなかったので、ちょっと浦島太郎感もあるし。

 そこはすごい感じましたね。なんか自分が年を取ったんだなっていう。男子もそうなんすけど、特に女性の選手には、トップ20〜30位でも知らない選手がいたりするので、ギャップっていうのはけっこう感じます」

 悲しいですけど......そうポツリとつけ足して、彼はまた困ったように笑う。

 34歳を迎えた今、自分がベテランと呼ばれる立場になったことを、感じないわけにはいかない。ただ同時に、20代なかば頃の彼は、「30歳を超えてプレーする自分が想像できない」とも言っていた。

 あの当時に漠然と予感していた30代の自分と、現実の今の自分にギャップを覚えはするだろうか?

「あー、ありますね。やっぱり30(歳)って、以前はひとつの区切りだったと思うんです。特にあの頃はまだ、ラケットとかトレーニングとか......特に回復のための治療や技術とかも、そこまでたぶん発達してなかった。なので、なんとなく全員30歳をすぎたら、辞めることを1回考えるみたいな風潮なのかなって、20代前半の頃は思ってました。

 でも、自分がなってみると、30歳はまだ全然だし、『まだ30か』っていうくらいの感じなので。さすがに今の34歳はちょっと上に感じていますけど、そこはけっこうギャップはあると思います。

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