加藤未唯の「お客さんも自然と喜んでくれる」テニスの魅力 もうすぐ開幕の全米OPに期待「今年はWTAファイナルズ出場を狙っている」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki, AFLO

 ガウフ/ペグラ組との対戦は、この時が今季早くも3度目。過去2度の対戦では、ガウフの「読みのよさ」の前に連敗を喫していた。

「特に2度目の試合では、負けた瞬間に『これは何か変えないと、この人たちには勝てない』と思ったんです」と、加藤は当時を回想する。

「そこで(2度目の試合後に)予定を変更し、すぐに日本に帰って練習しました」

 敗因を噛みしめて向かった、帰国の途。それは『短いボレー』に磨きをかけ、広角かつ鋭角に打ち分けるボレーも練習するためだった。

 奇しくも......というべきか。その直後に出場したBNPパリバ・オープンで、加藤たちは三度、世界2位ペアと相まみえる。しかも対戦の日は、ガウフの誕生日。相手の自国での一戦は、当然ながらアウェーの熱気に満たされた。

 だが、それは彼女が好む、多くの観客が注目する華やかな舞台、でもある。はたして試合は、一進一退の激しい攻防の末に、加藤/アルディラ・スチアディ組がファイナルセットを制す。

「すぐに練習の成果が出た。あえて日本に帰った意味があった」と会心の笑みを広げる、「ここ最近で最もうれしい勝利」だった。

 そのBNPパリバ・オープンでのベスト4を含め、今季は全豪、全仏、そしてウインブルドンでも女子ダブルスでベスト16進出と、安定して好成績を残している。

 とりわけ大きいのは、ウインブルドンで掴んだふたつの勝利だった。

「フレンチオープンのあと、試合をしても楽しいと思えない時期が続いていたんです。芝のコートに苦手意識もあったので、ウインブルドンの前哨戦は3大会に出て、一回も勝てなかった。それでも日本に帰らず、どうにか以前のテニスを取り戻したいと思って試合に出続けたのが、よかったと思います。

 ウインブルドン前にちょっと気づけたことがあったし、苦手だと思っていたウインブルドンでもシードを守れた(ベスト16進出)のは、あの時の私にとっては、すごく大きなことでした。今振り返れば、3回戦なのでそこまで喜ぶ結果ではないのですが、あの時はすごくうれしかったですね」

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