錦織圭、フォアの威力は回復も気になる肩の具合。USオープンは今後のキャリアを左右する重要な戦いだ

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFLO SPORT

 8月30日にニューヨークで開幕するグランドスラムの今季最終戦・USオープンで、錦織圭(ATPランキング55位、8月23日づけ/以下同)は、どんなテニスを見せるだろうか。

 昨年は、開幕直前に新型コロナウィルスに感染して、出場を断念せざるを得なかったため2年ぶりのプレーとなる。

錦織圭は東京五輪で好調だっただけに、右肩の状態が気になるところ錦織圭は東京五輪で好調だっただけに、右肩の状態が気になるところ 無観客で開催された東京2020オリンピックで、錦織は好調なテニスを披露して単複ベスト8という結果を残した。特にシングルス1回戦で、第5シードのアンドレイ・ルブレフ(大会時7位/ロシア)を6-3、6-4で破ったのは見事だった。錦織も「いいプレーが最初から出せた。久しぶりにこんないい試合ができたというぐらい、自分でも驚いている」と振り返った。

 錦織のトップ10選手からの勝利は、2018年ATPファイナルズで、ロジャー・フェデラー(当時3位)に勝利して以来、約2年8カ月ぶりだった。

「収穫もあったオリンピックだったので、これを機に大きなステップを踏みたい」と語った錦織は、すぐに渡米してわずか4日後には、ATPワシントンD.C.大会(8/2~8)のコートに立っていた。

 東京での疲れを残したままのプレーは、31歳の錦織にとって決して容易ではなかったはずだが、少しでも世界ランキングを再浮上させたい思いから、プレーを決断し、こう語っていた。

「やっぱりポイントは稼ぎたいですね。いい試合を重ねるということが、今は一番大事かなと思うので、勝ちの量は増やしていきたいです。日本で久しぶりにいい感覚を手に入れて、この感覚をなくさないようにしたいなと思います」

 ワシントンD.C.で錦織は、細かいステップと素早いフットワークを駆使しながら、五輪と同じように、相手コートに突き刺さるようなグランドストロークを打ち込んで試合の主導権を握った。

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