【車いすテニス】国枝慎吾、4年ぶり全仏制覇に「秘策」あり (2ページ目)

  • 荒木美晴●文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 一方で、低い球の処理が難しくなり、スピードも落ちるというリスクがある。丸山弘道コーチと相談し、国枝は決めた。

「やっぱり自分は走るのが好きだし、持ち味のスピードを落としてまで変える必要はないと思った。『あ、このボールを取るのか!』というのが自分のテニスだから。バランスを失わない程度に高くすることはあっても、大きくは変えないですね」

 積み重ねてきた努力と自信が、王者の背中を押す。

「こういうことを話すと、まるでクレーが苦手みたいですけど、決してそうじゃないんですよ。ハードが得意なだけなんです!」と国枝は笑う。

「確かにクレーでは、自分のフットワークの良さが失われるところがある。でも、コートを広く使うことが求められるので、横だけでなく前も使うのがクレーの戦術。そのへんは得意な方なんで。2年連続決勝で負けているけど、チャンスは十分にあると思ってますよ」

「今年は獲りに行く」その言葉に、自信がみなぎる。

 2年後のリオデジャネイロ・パラリンピックあるいはその先を見据えて、国枝が昨年末から取り組み始めていることがある。それは、両足を車いすに固定するベルトを取りはらうこと。足を自由にすることで、腰を中心に上半身と下半身の連動が機能し、より力強いショットが打てるようになるという。

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