【車いすテニス】強豪ひしめく復帰戦で国枝慎吾が4強、不屈の精神でロンドンへ (2ページ目)

  • 荒木美晴●文・写真 text&photo by Araki Miharu

 続く準決勝では、世界ランク2位のトッププレーヤー、ウデ(フランス)と対戦。第1セットを2-6で落とし、第2セットも1-4とリードを許す展開に。だが、中盤は息が詰まるほどの一進一退の攻防を制すなど、4セットオールに追いつく意地をみせた。しかし、この日のウデは絶好調。前後左右に揺さぶりをかけ、またラインぎりぎりのコースをつくショットなど多彩なプレイでリズムに乗り、最後は突き放されてしまった。残念ながら準決勝敗退となったが、復帰を待ち望んでいた観客からは大きな拍手が送られた。

 国枝は試合後、「序盤からコントロールに苦しんだ。自分のショットがどこに返ってくるかという予測力が発揮できなかったので、相手に自由な体勢で打たせてしまった」と敗因を分析。また、今大会を振り返り、「安定感は非常に乏しかった。自分は1年間のツアーのなかで良い時も悪い時も最低限のレベルを保てるのが強みの選手だと思うので、そういう意味では納得いくレベルではなかった」と語る。

 その一方で、「復帰後の初戦で、肘の痛みもなく戦えたこと、そして世界ランクトップ10がそろうトーナメントで4強に残ったことは自信になる」とも話す。

 ロンドンパラリンピックの日本人出場枠は4人。この先、よほど大きなケガなどをしない限り、国枝の出場はまず間違いない。そのロンドンに照準を合わせ、今後は実戦をこなしていく、と明かした国枝。早速、21日に開幕した韓国でのワールドチームカップに参戦。その後は全仏オープンなどに出場予定で、ヨーロッパ転戦も控えているとのこと。

「ベストの状態に戻るには、実践に復帰して3カ月はかかると考えています。このジャパン・オープンを皮切りに、これから試合をこなせば、経験的にも満足した状態でロンドンに臨めると思っています」

 ディフェンディングチャンピオンとして迎えるロンドンパラリンピック。幾多の荒波を乗り越えて"聖地"にたどり着いた時、王者がどのようなプレイを見せるのか。注目していきたい。

※世界ランキングは2012年5月14日現在のもの
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