どん底のスタートから花園優勝・2冠達成 桐蔭学園はいかにして「東の横綱」に返り咲くことができたのか (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【超高校級スーパーエースがいなくても勝てた理由】

 そして昨年11月19日、昨季の予選決勝で負けた東海大相模を59-0でリベンジを果たして花園の切符を獲得。本大会では2回戦、3回戦と順調に勝ち進み、準々決勝で東海大大阪仰星(大阪第3)、準決勝で大阪桐蔭(大阪第2)と優勝経験のある大阪勢を下した。

 東福岡との決勝戦では残り10分、1トライでも許されたら逆転される状況のなかでも桐蔭学園の選手は全員、タックルして起き上がり、またタックルして起き上がりを繰り返し、集中力を高く保って耐え続けた。その時の心境を、城はこう語った。

「相手が死ぬ気でトライを取りにくるので、自分たちも気持ちを出してディフェンスした。ひとつひとつの練習、ウェイトトレーニング、ランを最後まで突き通す習慣がついていれば、どんな時でもやりきることができる。基礎・基本が大事」

 基本に徹したからこそ、優勝7回を誇る東福岡を5点に抑えることができ、桐蔭学園は4度目の栄冠に輝くことができた。

 最後に「伊藤大祐(早稲田大4年/SO)や佐藤健次など優勝したキャプテンたちと肩を並べましたね」と聞くと、城は「歴代のキャプテンほど活躍していないですが(笑)、みんなががんばってくれたから」と大きな笑顔を見せた。

 たしかに今季の桐蔭学園には、松島幸太朗(東京サンゴリアス/FB)や伊藤大祐、佐藤健次といった超高校級のスーパーエースはいなかった。ただ、練習試合から無敗で駆け抜けて強い桐蔭学園が復活できたのは、どん底からのスタートだったチームを見事にまとめあげたキャプテンのおかげだ。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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