なぜラグビー日本代表はエディーと再び契約したのか? 失策続きの指揮官への疑問 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【日本人選手の手本は南アフリカ代表WTBコルビ】

 前回の日本代表HC時代、エディーは「ジャパンウェイ」というコンセプトを打ち出し、それは彼の代名詞にもなっていた。しかし、今回は「超速ラグビー」というテーマを掲げた。

「ラグビーはモメンタム(勢い)のゲームで、モメンタムは重さにスピードをかけたものに等しい。日本は小柄な選手が多く、質量を大きく上げることはできないが、動くスピード、アクションのスピードは改善できる。相手よりも速く、足で速く、頭で速くプレーする」(エディー)

 また、育成に関してエディーは「大学ラグビー世代のレベルアップ」を強調した。

「大学が日本のラグビーのベース。大学の若い選手たちを見て、どうすれば彼らをより早く成長させることができるか、どうすればより早く世に送り出せるかを考える必要がある。

 日本人選手の可能性を示す選手として、際立っているのは(南アフリカ代表WTB)チェスリン・コルビ(東京サンゴリアス)だ。彼は(身長172cmで)体重は76kg(サンゴリアス公式HPでは80kg)くらいしかないが、牛のように強く、チーターのように速く、忍者のようにつかみどころがない。

 日本の選手も、そのようになれるはず。彼はすばらしいお手本です。だから、彼のようになれる選手を見つけたい。大学やリーグワンにいるはずです」

 そして、新HCとしての目標を聞かれたエディーは、「2027年ワールカップでのベスト8は明確なターゲットです。しかし、それよりももっと重要なことは、自分たちのプレーで安定した成果を上げられるチームを確立することです」と語気を強めた。

 就任発表までにすったもんだはあったが、再び「エディージャパン」が始まる。2027年には67歳となる名将が、日本ラグビー界にさらなる奇跡を起こすことはできるか──。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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