なぜラグビー日本代表はエディーと再び契約したのか? 失策続きの指揮官への疑問 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【協会は当初からエディーを念頭に置いていた?】

 そしてもうひとつ、取り上げなければならない議題がある。「神通力のなくなったエディーが次期HCとして適任だったのか」というテーマだ。

 2019年大会までにオーストラリア、日本、イングランドを指揮してきたエディーのワールドカップ通算成績は14勝3敗(南アフリカのアドバイザーの経歴も入れると21勝3敗)。つまり、エディーはワールドカップという大舞台に滅法強かった。

 しかし、イングランド代表を率いた2022年のテストマッチは5勝7敗。オーストラリア代表を率いた2023年はワールドカップ直前にニュージーランドやフランスに屈するなど5連敗。そしてワールドカップ本番でも、ジョージアとポルトガルに勝つのがやっとで2勝2敗。つまり、この2年間は7勝14敗と大きく負け越している。

 日本ラグビー協会は新たな指揮官を選ぶ際、まずは80名の候補者リストを作り、それから3名に絞り、最終的に6名の選定委員会によって次期HCを選んだ。エディーの再起用は、ほぼ全会一致だったという。

 日本ラグビー協会が次期HCに求めたポイントは4つ。

(1)今後の世界のラグビー、ワールドカップに向けてどのような方向になっているか、予測を含めた考え。
(2)日本の強みの理解と最大化。
(3)短期的な結果と中期的な結果の両方にコミットできるか。
(4)日本の環境を理解したうえでコミットできるか。

 そもそもこの選考基準を決めたのは、日本ラグビー協会である。日本と世界のラグビーに明るく、ユース世代の育成にも長けた人物──という条件を満たす指導者は少ない。他薦で募ったエディーが有力候補だったのは間違いないだろう。

 岩渕専務理事は「ほかの2名の候補者と比べたら(エディーの内容は)より明確で、筋道がハッキリしていたことが大きな違いだった。一番大きなポイントは『ワールドカップで優勝に導けるか』でした」と説明。

 土田会長は「ユース世代、高校からU20、U23、一貫性のある育成を通じて代表の選手層に厚みを持たせることは喫緊の課題。エディーは必ずや日本ラグビーをさらなる高みに牽引し 世界の頂(いただき)に近づけてくれる人物と考え、HCに任命いたしました」と期待を寄せた。

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