なぜラグビー日本代表はエディーと再び契約したのか? 失策続きの指揮官への疑問 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【土田会長のコメントを鵜呑みにしていいのか】

 その一方で7月12日、日本代表を率いてきたジェイミー・ジョセフHCがワールドカップ終了後に退任することが決定。日本ラグビー協会は後任の指揮官を探していた。協会は「公平性」「透明性」をうたい、ロンドンに本拠地を置く人材コンサルティング会社に一部業務を委託し、公募も行なった。

「ワールドカップ期間中に次期候補者とは一切連絡していません。委託会社が(世界中の指導者の)情報収集をしていて、エディーから参考として情報を得たことは事実ですが、HCの面接をしたという事実はありません」

 日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事はこのように釈明。エディーもキッパリと言った。

「(日本ラグビー協会とは)12月7日に初めて面接を受けた。こういう結果(予選敗退)になって残念ですし、オーストラリアのファンには申し訳ない気持ちです。ただ一切、やましいこと、罪悪感に思うことはやっていない」

 さらに、エディーとはサントリーのコーチ時代から20年来の仲である日本ラグビー協会の土田雅人会長も、異例の説明を行なった。

「本決定に際して、私とエディー氏が旧知の仲であるがゆえに 憶測に基づいた報道がいくつか見られますことを非常に残念に思っております。日本代表HC決定という日本ラグビー界にとって重大な決断に際し、個人の知見や都合が組織判断に影響を与えることはあり得ません。本選考は極めて公平・公正なプロセスに準じております。私自身がエディー氏と直接に会話した機会は先日行なった面接を除いて、今年の1月4日です」

 ワールドカップ期間中に連絡しなかったのは、おそらく事実なのだろう。ただし、直接に会わずとも、メールやSNSなど世界中どこでも連絡の取れる手段があるなか、このコメントを鵜呑みにしていいのかは疑問が残る。

 日本ラグビー協会がよりいい指導者を確保するために両天秤にかけ、ほかの候補者を公募しつつもエディーに食指を伸ばしたことは、個人的には問題なかったと思う。ただ、あえてコンサルティング会社に委託したことを公表し、公正性・透明性をうたったのは逆効果だったとも思う。

 実際、フタを開けてみれば、エディーは公募による応募ではなく、他薦による応募だったという。ただ、誰からの推薦かは明らかにされなかった。

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