元ラグビー日本代表・真壁伸弥が明かす強豪・南アに勝利した要因と現在の日本代表へのエール (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文 text by Saito Ryutaro
  • photo by アフロ

──2015年大会の直前にジョージアと対戦しましたが、そこで日本代表が勝った(13-10)ことが南アフリカ戦の勝利につながったと言われています。

「あの試合で特に感触をつかんだのはFW(フォワード)ですね。その前の年、2014年の11月のジョージア(当時グルジア)戦で、スクラムで土の中に足が埋もれるぐらい押されてしまいました。それだけ大きな差があったのですが、それでも4年間かけてスクラムを日本の武器にしよう、というテーマを掲げていました。

 それ以前は"スクラムで真っ向勝負を避ける"という考え方から"スクラムで(相手から逃げることなく)立ち向かって、どう勝つか"という考え方にメンタルチェンジをさせるために、エディーさん(エディー・ジョーンズHC。現オーストラリアHC)は意図的にジョージアのようなスクラムが強いチームと試合を組んでいたんです。

 2015年大会の直前にジョージアから勝利を収めた結果、世界と勝負できると感じられたことが自信につながりました。ですから今回の大会直前に行なわれるイタリア戦も非常に重要でした(イタリア42-21日本)。日本代表は何をやってきたのか、それを活かしてどう結果を出すのか。そういったことを試合で出すのが僕は大事だと思っています」

──南アフリカ戦の勝因として、ペナルティが少なかったこと以外にも挙げられることはありますか?

「相手が自信にあふれたプレーをしてこなかったのも大きかったですね。その要因は前半、日本が相手にかなりのプレッシャーをかけたことです。向こうは日本代表SO(スタンドオフ)の(小野)晃征を狙ってアタックしてきましたが、晃征はタックルで相手をしっかり止めていました。彼だけではなくCTB(センター)立川理道も、LO(ロック)トンプソン ルークもみんな体を張っていました。それが勝利につながったのだと思います。

 特にフィジカルの強い南アフリカとの試合は球技というよりも、格闘技の領域にあり、もはや恐怖を感じるレベルです。あのステージでずっとやってきた選手でないと急には戦えません。キャップ数の少ない選手が果たして彼らのような相手と戦えるか、というと、やはり厳しいと思います」

──そんな南アフリカを相手に真壁さんは後半13分から最後まで出場しますが、それまではどのような思いでベンチから試合を見ていたのでしょうか?

「基本的には"スクラムとモールでどう対抗するか"ということを考えていました。後半になると南アフリカはなおさらスクラムとモールでゴリ押ししてくるので、日本代表はそれに耐えられるメンバーを用意しておいて後半から投入する必要がありました。与えられたミッションが遂行できてよかったと思いましたね」

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