ラグビーW杯ライバル分析《後編》 リーチが警戒するサモアの穴は? アルゼンチン戦は「残り20分で7点差」が勝負の分かれ目 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by AFLO

【アルゼンチンの武器は伝統のFWだけではない】

 そうしてサモアの規律を徐々に崩していければ、日本の得点チャンスも自然と増えていく。地道にPG(ペナルティゴール)を重ねつつ、相手ゴール前ではセットプレーからのサインプレーでトライを挙げることができれば、勝利をたぐり寄せることができるはずだ。

 そして予選プール最後の4試合目、10月8日に対戦するのが世界ランキング6位の「南米の雄」アルゼンチンだ。エンブレムは南米に生息するジャガーだが、かつて南アフリカ遠征時に現地の新聞記者が間違えたことで「ロス・プーマス(ピューマ)」という愛称で呼ばれている。

 過去の対戦成績は日本の1勝5敗。20年以上前は日本との実力差も拮抗していたが、1999年大会でベスト8に進出し、2007年大会では開催国フランスを倒す快進撃で3位となり、ラグビー強豪国の仲間入りを果たした。

 さらに2012年からは、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカと毎年対戦する南半球4カ国対抗「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」に参戦。チーム強化を加速させたことで、2015年大会には再びベスト4へと駒を進めた。

 ただ、前回大会はイングランドやフランスとの同組で苦戦し、予選プールで姿を消した。その分、今大会に賭ける思いは強い。

 アルゼンチンは伝統的に、強靭なFW陣のスクラムを武器として戦ってきた。しかし、近年はBK陣の若い選手たちが成長し、展開力も持ち味としている。

 選ばれたメンバーは、ほぼ全員が海外組。イングランドのレスター所属のキャプテンHOフリアン・モントージャを筆頭に、フランスのボルドー所属のLOグイド・ペッティ、スコットランドのエディンバラ所属のWTBエミリアーノ・ボフェッリなどがいる。

 また、日本に馴染みがある選手は前回大会のキャプテンFLパブロ・マテーラ。三重ホンダヒートに所属し、昨季はチームをリーグワン2部から1部に昇格させて、自身もディビジョン2のMVPに輝いている。

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