ラグビー日本代表に暗雲 稲垣啓太は負け越した国内5連戦に「ボールをロストしてしまうことが多かった」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【稲垣啓太に敗因を聞いてみた】

 フィジー代表はセブンズでオリンピック連覇の実績どおり、ボールの展開力やつなぎの部分は世界随一と評されているチーム。そんな相手に、日本代表はボールを保持して攻め続けるプランで臨んだ。

 しかし、このプランは成功とは言えなかった。前半に相手陣の奥深くに攻め込んだ時も、FB松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)やナイカブラのノックオンでチャンスが途切れ、逆にその流れからトライを与えてしまった。

 後半もチャンスを自らミスで失っていた。売り出し中のCTB長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が自陣から抜け出し70メートルほどゲインしたものの、最後にボールを落下。また、日本代表の武器であるべきスクラムでもプレッシャーを受けてチャンスにつなげられず、モールも押されてしまった。

 光明が見いだせない試合を「笑わない男」PR稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)はどう思ったのか。2015年・2019年と2度のワールドカップを経験してきた33歳は、表情を変えずに振り返った。

「14人でも、自分たちのラグビーができると思っていました。ですが、それができたのは後半の最後だけだった。結果が出なかったことが、何よりも非常に悔しい......」

 フィジカルの強いフィジー代表のアタックに対し、日本代表はひとり目の守備がボールに関与したあと、ふたり目もすぐにコンタクトして押し下げる「2インタックル」を試みた。前半早々のレッドカードは、そのタックルのリスクが悪い形となって出たとも言える。

「ヘッドコンタクトがどれだけ厳しくレフリングされるかも理解して取り組んできた。ただ、結果としてカードが出てしまったことは、まだまだ対策が足りない。だから(ワールドカップまでの)3週間でどこまで精度を上げていけるかは、選手個人の判断だと思っています」(稲垣)

 さらに前半の2トライは、スクラムでプレッシャーを受けた結果、与えてしまったものだった。ノックオンなどのミスが多発し、スクラムでもプレッシャーを受けてしまうと、勝つ流れに持っていくことは難しい。

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