ラグビー日本代表はトライ欠乏症 サモア戦のミスの原因をベテランが自己分析 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【武器であるアタックが不発】

 しかし、試合は思わぬ展開となった。10-3でリードしていた前半30分、リーチが危険なタックルを犯し「人生初のレッドカード」で一発退場を食らってしまう。日本代表は残りの50分間、14人の数的不利で戦うことを余儀なくされた。

 ディフェンス面ではしっかりと意思統一が図られ、劣勢だったスクラムも試合途中から徐々に修正。李承信(SO/コベルコ神戸スティーラーズ)が4本のPGを沈めて、あと3点で逆転という状況まで追いすがった。しかし、ミスとセットプレーからの失トライが響き、最後は22-24でノーサイドとなった。

 レッドカードでひとり人数が少なくなることは「ワールドカップ本番でも想定されること」。試合後、そのように前向きに捉える選手も少なくなかった。

 日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)もこう語る。

「選手たちは前に出てタックルを決めて、本当によくやったと思う。ただ、試合はマイケルを退場で失った30分で終わってしまった。14人になってしまうと、レベルの高い相手とテストマッチを戦うのは難しい」

 個人的に一番大きな問題だと感じているのは、国内1戦目に続いてこの試合でも1トライに終わったことだ。

「アタックはジャパンの大きな武器」とジョセフHCが胸を張るように、トニー・ブラウンコーチが指導する今の日本代表は、アタッキングラグビーを信条とするチームだ。しかし現状、アタックで納得のいく結果は残せていない。

 サモア戦の後半で流れが日本に傾いた時、ラインアウトやクイックタップからトライを狙ってほしいと思った。共同主将のひとりである坂手淳史(HO フッカー/埼玉パナソニックワイルドナイツ)は、それについてこう振り返る。

「得点を取って相手にプレッシャーをかける、という当初のプランがあった。(PGで)得点を重ねて9点差にすれば、相手は強引に攻めてミスが出てくると思っていた。だが、こちらが簡単にトライを取られてしまった......」

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