「リーチ マイケル&松島幸太朗が納得できるワールドカップに」元ラグビー日本代表・大西将太郎が語る、フランス大会への期待 (3ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文・撮影 text & photo by Saito Ryutaro

──フィジーには31-35と大接戦でしたが、次のウェールズ戦は残念ながら18-72で大敗となりました。

「僕は試合中に肋骨を折ってしまい、その痛みの影響でウェールズ戦のことはあまり覚えていないんです。ただ、100m近くつないでとったトライは日本のラグビーを世界に知ってもらう大きなトライになりました」

──大野選手が起点となったWTB(ウイング)遠藤幸佑選手のすばらしいトライでした。

「ただ、試合後は大敗の悔しさと疲労をみんな抱えていました。僕はケガのこともあり『(次の)カナダ戦に出るのは絶対に無理。もう僕のワールドカップは終わった』と思い込んでいました。それでも出場することができたのは、痛み止めの注射よりも何よりも『このままワールドカップを終えてしまってええんか』という自分自身への問いかけでした。

 JKには『カナダ戦のメンバー発表は最後の最後まで待ってほしい』とお願いし、JKも『待つ』と言ってくれました。その後の練習でやれることをやったところ、不思議と気持ちも含めて『いける』状態になったんです」

後編に続く>>カナダ戦での伝説のコンバージョンキックを振り返る「蹴る前にレフリーからかけられた言葉が今でも忘れられない」

【profile】
大西 将太郎(おおにし・しょうたろう)
1978年11月18日生まれ、大阪府東大阪市出身。ポジションはSO/CTB。地元の布施ラグビースクールで小3からラグビーを始め、啓光学園高3年時に全国高校大会準優勝。日本代表には2000年、同志社大3年時のオフに初選出。以降、2008年まで通算33キャップを重ねる。ラグビーワールドカップは2007年フランス大会に出場。トップリーグは通算143試合に出場し、2007-2008シーズンはベスト15、得点王、ベストキッカー賞の3冠に輝く。2016年に現役引退し、主に解説者として活動中。

プロフィール

  • 齋藤龍太郎

    齋藤龍太郎 ((さいとう・りゅうたろう))

    編集者、ライター、フォトグラファー。1976年、東京都生まれ。明治大学在学中にラグビーの魅力にとりつかれ、卒業後、入社した出版社でラグビーのムック、書籍を手がける。2015年に独立し、編集プロダクション「楕円銀河」を設立。世界各地でラグビーを取材し、さまざまなメディアに寄稿中。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

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