ラグビー日本代表の「10番」争いに21歳の李承信が名乗り。ジョセフHCも「パスがうまくなっている」と期待大 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

司令塔争いのライバルは?

「将来有望な選手。非常に熱心で、未熟な部分もあって学ぶべきことがあるが、謙虚でハングリー」

 ジェイミー・ジョセフHCは李を選んだ理由をこう語る。

 7月のフランス代表との2試合では、ベテランの田村優が代表落ちし、埼玉ワイルドナイツを優勝に導いた山沢拓也が体調を崩すなか、司令塔として李が先発。大阪朝鮮高校出身として初キャップを得て「プレッシャーというよりも、その期待に応えたいという気持ちが大きかった」と振り返った試合では、若手ながら堂々としたプレーを見せた。

 そして、今秋6連戦の2試合目で、李は再び10番を背負った。「鉄は熱いうちに打て」のことわざのとおり、10番の役割であるゲームコントロールの部分で確実に進化した姿を見せた。ジョセフHCは「パスもすごくうまくなっているので、時間をかけながら使っていきたい」と一定の評価を下している。

 SOのポジションには、1試合目で先発した中尾隼太と山沢、さらには現在ケガで離脱中の松田力也も控えており、ワールドカップに向けて司令塔争いは熾烈と言える。だが、そのなかでも李の存在感は大きくなるばかりだ。

「日本代表に入ることは漠然とした目標としてあったが、(春に)日本代表へ来て(目標が)明確になってきた。もっとハングリーに、もっとアピールして、絶対にワールドカップメンバーに選ばれたいという気持ちが強くなった」

 来年、ラグビワールドカップを迎える時は22歳。李のチャレンジは続いていく。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る