早稲田大がキーマン復活で快勝。敵将も「バックスは理想の形」と讃えた (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji



 FWで注目すべきもうひとつは、健闘したスクラムである。前半は天理大に押されてペナルティを犯したが、後半はしっかりと相手の圧力に耐え、逆にプレッシャーをかけて反則も誘った。

 試合後、相良監督が「ハーフタイムで、スクラムを『低く組もう』と。佐藤(友重)コーチと選手たちの見解が一致した」と目を細めると、副将の幸重は「8人で低く一体となったスクラムが組めた。やってきたことがやっと出せた」と破顔した。春からOBの佐藤コーチのもと、スクラムを鍛えてきた成果がやっと形になった証だ。

 後半は一時14点差まで追いつかれたものの、早稲田大はセットプレーで天理大を上回り、その後さらに4トライを奪取。終わってみれば計8トライを挙げて52−14で快勝した。

 6シーズンぶりの決勝進出を決めた主将のSH(スクラムハーフ)齋藤直人(4年)は試合後、このように語った。

「FWのトライもありましたが、BKのトライはFWのがんばりのおかげ。FWに助けられた試合だなと思いました。昨年度はこの舞台(準決勝)で負けて、新チームが始まる頃、『去年のチームを超えよう』と言ってきた。まず、去年のチームを超えることができてうれしい」

 同日に行なわれた準決勝2試合目は、明治大が東海大を29−10で下して決勝に駒を進めた。

 1月11日、その決勝の舞台で明治大と対戦することについて、相良監督は「巡り合わせに感謝したい」と言った。大学選手権の決勝が「早明戦」となったのは、実に23シーズンぶりのことだ。

 早稲田大は昨年度の準決勝、そして今年の対抗戦と明治大に負けている。目指すは、最高の舞台でのリベンジだ。果たして、早稲田大フィフティーンは優勝した時だけに歌える第二部歌「荒ぶる」を、新しいスタジアムに響かせることができるか。

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